奥州・金ケ崎

原料、仕込みに水農高生 前沢・異業種連携 こだわりの逸品 日本酒「奥州光一代」

奥州市前沢地域の異業種連携で醸造している「奥州光一代」

 奥州市前沢地域で、異業種企業3社が連携して醸造している日本酒「奥州光一代」の2020年の販売を行っている。岩手、前沢のこだわりを込めた「無ろ過生原酒(中取り)純米大吟醸」と、純米大吟醸の2種類で、県立水沢農業高校の生徒が酒米栽培、仕込み作業で協力する初めての試みも行われた。例年実施しているお披露目会中止など新型コロナウイルス感染拡大による影響も受けているが、関係者は「一番おいしい時の酒を皆さんに召し上がってほしい」と力を込める。

▲今年の「奥州光一代」には水沢農高生徒が初めて取り組みに協力。仕込みを体験した生徒ら=1月、奥州市・岩手銘醸(水沢農高提供)

 奥州光一代は精密機械製造業のデジアイズ(同市前沢)と岩手銘醸(同)、前沢牛オガタ(同)が個々の強みを生かした連携で14年から製造。前沢牛オガタからの牛ふん堆肥を使い、デジアイズが圃場(ほじょう)で県産オリジナル酒造好適米「吟ぎんが」を栽培し、岩手銘醸が国産原材料で醸造を行う。現在はスズシン物流システム(同市水沢)も取り組みに協力する。

 本年分の醸造に向けた新たな取り組みとして、デジアイズと岩手銘醸では地元の農業高校とのコラボレーションを目指して19年度、水沢農高に打診し、学校側も了承。農業科学科の3年生(当時)8人が同校圃場で原料米の一部に用いる吟ぎんがの栽培に当たった。

 1月には作物を専攻する生徒3人(当時2年生)と、食品科学科で微生物関係を学ぶ4人(同)が岩手銘醸を訪問し、工場の見学や仕込みの作業を体験。生徒たちも熱心に取り組み、同校農業科学科作物担当の佐々木眞二教諭は「地元で造っていることや(異業種が)みんなで事業をやっていることを知らなかった生徒が多く、興味関心を持ったようだ」と語る。

 無ろ過生原酒(中取り)純米大吟醸は本数限定で720ミリリットル(2200円)、300ミリリットル(1050円)の2種類、純米大吟醸は1・8リットル(3800円)、720ミリリットル(1900円)、300ミリリットル(900円)の3種類を販売。無ろ過生原酒は搾りたてをそのまま瓶詰めした生特有の味わいが魅力で、純米大吟醸は火入れしていることでまろやかな仕上がりとなっている。

 岩手銘醸杜氏の三浦健太郎さんは「季節を通して飲んでいただける味わいのある酒に仕上がった。思った通りの酒質になっている」と自信を持つ。デジアイズ新規事業部営業課の土井由隆さんは「リピーターも多くなってきて、『いつ出すんですか』との問い合わせも頂いている。もっと皆さんに知ってもらえるよう、活動していきたい」と語る。

 新型コロナの全国的な感染拡大で、岩手銘醸でも売り上げや販売活動などに影響が出ているという。及川順也専務取締役は「今は東京などに新酒のPRに歩く時期なので残念だが、岩手の皆さんに召し上がっていただきたい。個人的には奥州光一代と前沢牛を一緒に自宅で楽しんでもらえれば」と地場産品と併せて愛飲を呼び掛ける。

 また、水沢農高とは「今後も一緒に何かできれば」と別な形も含めた今後の連携に期待を寄せている。

 購入に関する問い合わせは、デジアイズ新規事業部奥州光一代販売係=0197(56)7552=へ。

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