北上・西和賀

苦境に負けず営業再開 バイキングさん食亭 感染リスク低減へ工夫【北上】

盛り付けを小皿に切り替え、感染リスク低減対策に当たるさん食亭の従業員

 新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされている飲食業界。大型連休明けの7日に県が出した休業要請解除によって、営業を再開した店も出始めた。早い段階から政府の自粛要請に含まれていたこともあり、厳しい経営を強いられているバイキング形式で食事を提供する飲食店。うち北上市立花の農家レストラン「さん食亭」(髙橋静雄代表)は、7日に営業を再開し可能な限りの感染防止策を施し来店客を出迎えている。緊急事態宣言が解除された14日以降も同様の対策を継続し感染リスクの低減を目指す姿勢でいる。

 さん食亭は、敷地内の農園で栽培した旬の野菜などを使い多種類のメニューを提供する人気の農家レストラン。4月中旬ごろまでは1日当たり平日で約100人、週末になると約200人の利用があったが、緊急事態宣言が本県を含む全国に拡大された4月16日以降、利用者が急速に減少し客足が半減した。

 宣言を受け、向かい合わせだったテーブルの席を眺望のきく窓側に向かって片側だけ使用し、約100あった席数を50席ほどに半減させた。また、大皿から料理を取り分けるトングを通じた感染を防ぐためビニール手袋や消毒液を配置、レジにはビニールシートを張って仕切りを作るなどの対策を講じ、できる限り対面や接触のリスクを軽減する方策を取り入れた。

 その後、県からの営業自粛要請を受け、大型連休中の4月29日~5月6日までは自主休業を決定。感染防止をさらに徹底するため7日以降は、新たにトングを使う大皿での提供を取りやめ、20種ほどある総菜メニューを全て小皿に盛り付けてテーブルに並べる提供方法に切り替えたほか、これまでは客が自由に持ち運んでいたご飯や汁物などのコーナーでは、マスクと手袋をした従業員が客に盛り付けて提供する方式に切り替えた。

 来店客が給仕する時間をなくすことで、客同士や客と店員との間の接触時間を減らし感染防止につなげたい考えだ。髙橋代表(76)は「緊急事態宣言が拡大された4月中旬ごろから客足が急激に減ってきた。県内で感染者が確認されていないとは言っても、企業集積地の北上市は遠方からの来訪者や勤務者も多く、感染リスクを減らすためにどうすればいいか悩んだ」と手探りの状況を説明。その上で緊急事態宣言が解除された14日以降も当面は営業時間の短縮を続け、「感染リスクを減らすよう、しばらくの間は現在の対策を継続させたい」と構えを崩さない姿勢だ。

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