花巻

弥生時代の人骨紹介 来月1日から企画展 総合文化財センター【花巻】

再開に向け準備が進む市総合文化財センター。手前は花巻初公開の「アバちゃん」人骨

 企画展「アバクチ・風穴洞穴~北上山地に人類の痕跡を探る」は、6月1日から花巻市大迫町の市総合文化財センターで開かれる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月から休館していた同センターが、3カ月ぶりの開館に合わせて開く展示会。同町で見つかった弥生時代の幼児とみられる全身人骨「アバちゃん」初公開など、興味深い内容で来館者を迎える。8月10日まで。

 同町のアバクチ洞穴(発掘調査開始1995年)、風穴洞穴(同96年)両遺跡の四半世紀にわたる研究成果公開で市教委、新潟医療福祉大、慶応大民族学考古学研究室の共催。▽北上山地に更新世人類化石を探る▽アバクチ洞穴を探る▽風穴洞穴を探る―の3分類で、発見された人骨や動物の骨、土器などを紹介する。

 中でも注目は、アバクチ洞穴の入り口付近で96年に屈葬(手足を折り曲げて埋葬)の状態で見つかった幼児の人骨。弥生時代中期の3~4歳児とみられる愛称「アバちゃん」は貝珠(貝を数珠つなぎ状にした装飾腕輪)とともに見つかり、東北初の弥生人骨発見として大きな話題となった。全身の骨は国立科学博物館(東京都)で公開されたことがあるが、花巻では初の一般向け展示となる。頭骨を基に復元された顔(復顔)も出展され、遠い弥生時代の大迫の子を身近に感じさせる。

 このほか、風穴洞穴のコーナーに展示されているナウマンゾウ(約4万年前)の大腿骨も見どころ。同所からはゾウのほかヘラジカ、ニホンザルの動物化石群が出土している一方、同時代の人骨や道具類が発見されていないなど特徴も多く、今企画展に一層の深みを与える。

 当初の展示日程は3月14日~5月10日だったが、コロナ禍で日程を再調整。同センターの佐藤幸泰学芸員は「全身の人骨を展示するには医学など専門知識も必要で、東北唯一の弥生人骨でもあり、なかなか見ることができない。大迫、花巻の特徴的な部分にスポットを当てており、現代の東北人にもつながってくる部分がある」と話す。会期中無休。展示は午前9時~午後5時。一般入館料200円。問い合わせは同センター=0198(29)4567=まで。

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