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【新型コロナ】「子ども食堂」自粛 広がるひとり親家庭支援 岩手

インクルこども食堂が5月10日に開催したフードパントリー=盛岡市内(同食堂提供)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、県内の「子ども食堂」でも活動を自粛するケースが増えている。子ども食堂は、企業や団体、個人から寄付をしてもらった食材などを無料や安価で子供たちに提供しており、「3密」を回避した活動再開が難しい状態。こうした状況の中、寄付された食料を無償でひとり親家庭などに提供する「フードパントリー」の活動が、新たな支援として広がっている。

 盛岡市のNPO法人インクルいわて(山屋理恵理事長)が運営するインクルこども食堂は、子供と親の約30人が利用している。新型コロナの全国的な感染拡大を受け、利用者やボランティアなどの安全を優先し、3月上旬から食堂の活動を休止した。現時点で再開の見通しは立っていない。

 新たに始めたのが企業や個人、団体などから寄付してもらった食料をひとり親家庭に無料で提供する「フードパントリー」の活動。

 初めての開催となった3月8~15日が47世帯130人、4月が51世帯143人、5月が55世帯154人と多くのひとり親家庭が訪れた。来場者に行ったアンケートによると、「もともとひとり親で収入が少ないのに、コロナの影響で収入が減った」「自分が感染したら子供がどうなるのか不安だ」「小さい子供のいるひとり親家庭だけでなく、中高生のいるひとり親家庭の支援もしてもらいたい」などの意見が寄せられた。

 フードパントリーに訪れたのは、これまで食堂を利用していなかった人が約4割を占め、特に中高生を抱えた世帯が多かったという。

 同食堂などによると、ひとり親家庭は収入が少ないケースが多く、さらにコロナの影響で仕事が減ったり、自粛でずっと子供と一緒に家で過ごすことにより食費がかさむなど、家計が厳しくなるケースもみられる。コロナの影響で親同士の交流も難しくなり、行政やNPOなどの支援の情報が届きにくいケースもあるという。

 インクルこども食堂統括の川守田栄美子さんは「フードパントリーの取り組みを通して、新たなつながりをつくることができた。ひとり親家庭を支援してくれている人がいて、団体などに相談できる場所があると知ってもらえることが重要」と強調した。山屋理事長は「コロナの影響で私たちが活動を自粛してしまえば、本当に困ってしまう人たちがいる。安全安心を徹底した上で、いろいろなつながりをつくっていくことが大事」と支援の必要性を訴えた。

 フードパントリーは、花巻市の子ども食堂にも広がっており、花巻ロータリークラブなどが運営する「ぬくまる食堂」では、今月5日にフードパントリーの開催を予定している。

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