大雨、西和賀２７３８人に避難勧告　土砂崩れ、冠水相次ぐ

　梅雨前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、県内は２７日夜から２８日にかけて大雨となった。県は西和賀町の和賀川、盛岡市の簗川、宮古市の閉伊川、花巻市の稗貫川の４河川に警戒情報を出した。西和賀町と遠野市で計８棟の住宅に床下浸水の被害が出た。

　盛岡地方気象台によると、２４時間降水量は奥州市江刺の米里で１３３・０ミリ、宮古市の区界で１３２・５ミリ、西和賀町の湯田で１１９・５ミリ。宮古市で１１地区の６４６世帯１１８５人、西和賀町で１３地区の１０３５世帯２７３８人に避難勧告、花巻市と北上市、盛岡市の一部で避難準備などの情報が出された。

　県の午後３時現在のまとめによると、道路は花巻市東和町田瀬地内の国道１０７号で土砂流入、西和賀町沢内字川舟の主要地方道で土砂崩落により通行止め。北上川の水位上昇による冠水で一関市の県道薄衣舞川線、路面冠水で奥州市水沢地内の県道一関北上線、同市前沢地内の県道長坂束稲前沢線も通行止めとなった。

　鉄道のダイヤも乱れ、ＪＲ盛岡支社によると、秋田新幹線は始発から運転を見合わせ、全区間で上下４本、盛岡―秋田間で上下２６本が運休。釜石線、北上線でも運休が発生、山田線は線路に土砂が流れ込んだため上米内―宮古間で運転を見合わせ再開の見込みは立っていない。東北線にも運休や遅れが出た。

　三陸鉄道、ＩＧＲいわて銀河鉄道でも一部の列車が運休した。

　２７日午後９時４分、大雨洪水警報発表に伴い市災害警戒本部を設置。２８日午前４時に市内１万９５０８世帯、５万６８４人を対象に避難準備情報が出された。市内１８カ所に指定緊急避難場所が設けられ、同日午後２時３０分の同情報解除までに５世帯１１人が一時身を寄せた。

　道路関係では、同市東和町田瀬の国道１０７号で斜面が崩れ、一時通行止めの措置が取られた。現場では幅数メートルにわたって土砂が路面をふさぎ、復旧作業が行われた。同日夕までに車両の片側通行が可能となった。

　このほか、同市下小舟渡のスーパー付近など、市内数カ所で内水の逆流、水路があふれるといった被害が発生し、ポンプ排水などが行われた。田畑の冠水も相次ぎ、同市南城の高台では、広く水に浸かった農地を心配そうに見詰める地域住民の姿が見られた。

　午後４時現在のまとめによると、人的被害はなかったものの、道路崩壊１件と道路冠水３件の物的被害があった。

　同市臥牛地内では市道の一部が長さ数十メートル、深さ約５メートルにわたって崩落。午前５時すぎごろ、近隣住民から報告を受けた更木７区の及川諭区長（７０）が市に連絡を入れた。業者がビニールをかぶせ、６時ごろから通行止めの措置が取られた。

　道路状況を見た及川区長は「驚いた。夕べは結構雨が降っていたので心配はしていた。修復されるまでは迂回（うかい）路を使うことになる」と話していた。

　同市小鳥崎から二子町を結ぶ市道の一部区間、成田地内の市道、展勝地公園では冠水被害があった。口内、稲瀬、相去、鬼柳各地区の一部に避難準備情報が発令され、４カ所に避難所を開設。口内地区交流センターに２世帯２人、鬼柳地区交流センターに１世帯１人、北上総合体育館には３世帯４人が避難した。

　市内でも各所で道路の冠水やのり面崩壊、住宅の床下浸水、停電などの被害が発生した。

　北上川東岸の同市水沢黒石町字鶴城地内では、増水や降り続く大雨の影響などで鶴城集会所前の敷地内まで水が迫ったほか、住宅街の道路の一部も水に浸かった。集会所近くに住む女性は「あっという間に水が来た。何年か前にもあったが、これ以上降れば心配だ」と不安な表情を見せた。

　黒石町地内では主要地方道が冠水で通行止めになるなどの被害もあり、一部住民が黒石地区センターに自主避難する動きもあった。

　２８日午後５時現在のまとめによると、沢内地域の泉沢地区２棟、弁天地区で１棟、太田地区３棟の計６棟が床下浸水の被害に見舞われた。

　午前６時に同地域内の１０３５世帯２７３８人を対象に避難勧告を発令し、３カ所に避難所を設置したものの、午後４時４０分に避難勧告を解除した。

　また、県北上土木センターによると、同町沢内字川舟地内の主要地方道花巻大曲線で、斜面からの土砂崩落で道路がふさがれたり、のり面復旧工事のため設けられていた仮設道路（延長約５０メートル）が流されたりしたため、小倉山トンネル西側―コサバラ橋東側間（同約３キロ）で通行止めの措置が取られた。当面の間、通行止めとなる見込み。