花巻

今福さん(神奈川県藤沢市)に賢治賞 イーハトーブ賞はわらび座【花巻】

劇団わらび座

 花巻市は5日、第30回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞の受賞者を発表した。賢治に関わる研究や評論、創作活動などに贈られる宮沢賢治賞には、文化人類学者で評論家の今福龍太さん(64)=神奈川県藤沢市=、賢治顕彰の実践的な活動者をたたえるイーハトーブ賞に、秋田県仙北市を拠点に演劇活動を展開する劇団わらび座を選んだ。贈呈式は9月22日、花巻市大通りのなはんプラザで行う予定。

 両賞は、市の諮問を受けた宮沢賢治学会イーハトーブセンター(安藤恭子代表理事)が賞選考委員会を設置して選ぶ。

 今回の選考対象は賢治賞が10件、イーハトーブ賞が16件あり、同日は選考結果の答申に基づき市が決定した。

 賢治賞の今福さんは、文化人類学だけでなく文学と芸術にも精通して数々の書物を著し、2019年発刊で初の賢治論「宮沢賢治 デクノボーの叡知(えいち)」(新潮選書)で、豊かな学識と感受性に基づき賢治の批評を自由に論じ、根底に人間中心ではない共生の理論を読み取り、触発力に富んだ文体を通して広い読者層に訴えるとともに、今後の賢治研究への刺激となり得る業績が高く評価された。

 イーハトーブ賞のわらび座は、1953年2月の創設から秋田県を中心に公演活動を行い、74年以降は田沢湖畔の常設劇場を本拠地にオリジナルミュージカルの公演を各地で展開。「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」「風の又三郎」などの賢治作品のほか、アテルイや遠野物語などを題材に長年、演劇を通じて東北の文化振興や地域づくりに貢献してきた功績が高評価を受けた。

 受賞者はこのほか、宮沢賢治賞に準じる賢治賞奨励賞に、「宮沢賢治はなぜ教科書に掲載され続けるのか」などの著作を発表している構大樹さん(34)=神奈川県藤沢市=と、法華信者としての賢治の生涯を映像化した「愁いの王―宮澤賢治―」を2017年に完成させた吉田重滿さん(60)=盛岡市=が選ばれた。イーハトーブ賞奨励賞は該当者がなかった。

 同センターが独自に選考している功労賞は、賢治関連の講演や朗読などを学校行事として長年開催している県立花巻農業高校「賢治先生を偲(しの)ぶ会」、02年に結成し花巻市内で合唱の披露や賢治の歌全国大会を開催している市民合唱グループ「賢治の里で賢治をうたう会」に贈る。

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