一関・平泉

一関産西洋野菜に期待 県内シェフら圃場見学、活用探る

一関市南部農業技術開発センターで、千葉副所長(左)の案内で西洋野菜の試験栽培圃場を見学する全日本司厨士協会北部地方県本部員

 西洋料理のシェフらで組織する全日本司厨士(しちゅうし)協会北部地方県本部(狩野美紀雄会長)は31日、一関市花泉町金沢の市南部農業技術開発センターを見学した。市が産地化を目指して試験栽培している西洋野菜について、料理人の立場から調理での活用や販路を探った。

 県本部が県内各地で毎年行っている食べ歩きの一環で、一関、花巻、盛岡、二戸各市などのホテルや飲食店で料理に従事している16人が参加。同センターの千葉広副所長が西洋野菜の試験栽培圃場(ほじょう)を案内し、生産面で大きな問題はないものの流通面が課題になると指摘。「実需者に直接供給するとなると、ロット(数量)が小さくなり、品目的には多くなる。そこを改善しないと産地の構成は難しい。皆さんの意見を頂き、両者の協力で産地をつくっていきたい」と呼び掛けた。

 同センターが西洋野菜に取り組むのは4年目。2020年度は根菜類、特にタマネギの一種「エシャロット」に力を入れており、同センターの圃場のほか、一関市内の若手農業者6人にも苗を配布してそれぞれ試験栽培した。若手農業者は既にトマトやピーマンなどを主力品目としていて夏場が繁忙期となるが、エシャロットはさほど労力をかけずに取り組め、長期保存もできると見込まれている。

 参加者は西洋野菜の調達方法について市側から問われ、「業者に頼んでいる」「知り合いの農家に育ててもらう」「山菜やキノコなどは飛び込みで売り込みに来る人もいる。個人的なつながりで連絡を取ったりもする」などと、さまざまな販路がある現状を伝えた。

 圃場見学後は昼食を兼ねて試食会が同市山目のベリーノホテル一関で開かれ、エシャロットなど市内産西洋野菜をふんだんに使ったコース料理が柴田亮洋食料理長によって披露された。

 狩野会長は「エシャロットはフランス料理で必ず使う食材。今後作り続けていけば土壌改良などで完成度が上がっていくと思う。輸入物だけでなく地元産を使えるようになり、顔の見える扱いができるようになれば食を預かる者としてはよいこと」と期待していた。

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