賢治の思い一緒に 下ノ畑でハクサイ収穫 南城小3年生【花巻】
宮沢賢治が自ら耕した花巻市桜町の「下ノ畑」で4日、市立南城小学校の3年生70人がハクサイの収穫を体験した。賢治の思いに触れながら大きなハクサイに喜んだ。
畑での交流は、仙台大附属明成高校(仙台市)食文化創志科の高橋信壮学科長(46)が、賢治作品に登場する地名「塩竃・仙台・岩手」をつなごうと2012年から実施しており、9回目。
今回収穫したのは同科の生徒が育苗し9月に児童が定植したもので、2380平方メートルの畑のうち約200平方メートルで、松島(宮城県)の島々で取れたハクサイ苗600株を栽培。賢治も育てたとされる「松島純二号」も含まれる。
今年は台風の影響などがなく生育は良好。児童がハクサイを横に倒し、会員らが包丁でカットした。ぎっしりと葉が詰まったハクサイを抱えて笑顔がこぼれていた。
鶴田真唯さん(8)は「ずしりと重みを感じた。肉を包んで食べてみたい」と満面の笑みだった。
畑は花巻農学校を退職した賢治が1926年に開墾し、ハクサイやトマト、アスパラガス、ジャガイモなどを中心に育てたといわれる。賢治亡き後は荒れ地になっていたものの、2007年から宮沢賢治「下の畑」保存会の菅野将勝会長(81)や会員らが管理・栽培を担っている。
菅野会長は「賢治も食べたハクサイ。ロマンを感じながら収穫してもらえていたらうれしい」と話していた。