育てる心一つに 「桜守」の初講習会 展勝地100周年記念実行委・北上
北上市の展勝地開園100周年記念事業実行委員会は7日、同市立花の市立公園展勝地で、ボランティアで桜の世話をする「桜守」の初講習会を開いた。参加者は若木に施肥し、桜を守り育てる心を一つにした。実行委は今後、桜守組織の結成を目指し輪を広げる。
2021年の開園100周年記念へ、みちのく三大桜名所の一つ・展勝地の桜を次の100年につなぐため桜守を育成しようと講習会を企画。地元住民や企業、北上さくらの会の会員ら20人余りが参加した。
講師を務めたのは青森県弘前市の樹木医で、北上市桜管理アドバイザーの小林勝氏(66)。「肥料をやることで新しい根が出て枝も伸び、短い枝が出て3年後には多くの花が咲く。プロでなくても肥料をやることで桜を育てていける」と説明した。
参加者は、16年に同公園お花見広場に植えられた遅咲きの里桜シロタエ、ヨウキヒなど若木71本の周囲にスコップで穴を掘り、肥料を施す作業に当たった。
一般参加した菅原英典さん(39)=同市孫屋敷=は「桜が育つには肥料が一番大事だと感じた。穴掘りは少し大変だが、きちんとやらないと木が育たない。きれいな桜を咲かせるため、自分たちも役立てば」と意欲的。花巻市の女性(24)は「桜がこんなに手間がかかっているとは思わなかった。観光地として楽しむためにも、見る側として何かお手伝いできれば」と懸命に作業していた。
小林氏は「市民が手をかけて育てるのが一番で、積極的に参加するのは素晴らしいこと。自分たちが育てた桜という意識が芽生える」と取り組みを評価。毎年施肥を欠かさないようアドバイスした。
実行委は21年度も施肥を続けるほか桜の診断、剪定(せんてい)を計画。桜守組織の結成を目指し、候補となる人材を育成する。実行委桜守事業班の和賀匡彦班長は「施肥は一般市民でもできる桜管理の一つとして理解してもらえたと思う。この動きを広げて、展勝地に限らず市内の桜を守る人材を育てていきたい」と話した。
同日朝は、同じく100周年記念事業として実行委による「100人クリーン大作戦」が行われ、参加者はスイセンの球根植え替え、伸びたアジサイの刈り払いなどに当たった。