奥州・金ケ崎

継続、廃止、統合示す 総合管理「個別計画」案公表 奥州市公共施設

 奥州市は27日、市公共施設等総合管理計画「個別施設計画」の素案を公表した。2021~55年度の計画期間において各施設の長寿命化を含む継続、廃止、統合といった将来方針を示した内容で、このうち体育館は市内6カ所への集約や市総合体育館(同市水沢)の将来的な民間移譲などが盛り込まれた。市ホームページ(HP)での掲示と12月に開く市民説明会で市民の意見を受けて必要な修正を図り、市議会などの意見聴取、パブリックコメント(意見公募)を経て、21年3月の計画公表を目指す。

 市財務部行政経営室によると、市の施設のうち築30年超は49・6%と半数近く、全施設を更新すると年平均で115億6000万円の費用となる試算で、全ての施設維持は困難であることから市では総合管理計画を17年3月に策定。計画の具現化へ各施設の対応方針を示すとともに、将来費用推計の基礎とする内容の個別施設計画策定を進めている。

 素案は38の中分類で策定を予定する個別計画のうち、インフラ資産、現在施設再編計画や整備計画を策定中の学校教育系・医療系施設を除いた内容。施設ごとに対応方針と、25年度末、35年度末、45年度末、55年度末時点での考え方を▽現行存続▽使用不可能な状態になるまで存続▽民間等の運営により存続▽他施設へ機能移転▽他施設に統合・集約▽施設廃止―の分類で明記した。

 コミュニティ関連施設のうち、市内30の地区センターは地域の拠点施設として維持・存続するが、体育館部分は将来的な機能集約を見越して最低限の維持とすることを示した。社会教育系施設のうち、市内五つの図書館は水沢、江刺の2館で長寿命化を図り、他の3施設は建物が使用できる間存続させ、将来的に地域内の近隣他施設へ機能を移転させる。

 スポーツ施設のうち、体育館は市内6カ所程度に集約を図る一方、市総合体育館はプロスポーツの活用などを視野に入れ、55年度末時点での民間運営(建物譲渡)を目指す。

 トレーニング農場セミナーハウス(同市胆沢)などは、役割を終えたとして廃止を提案。水沢公園陸上競技場、旧東水沢中学校運動場と体育館、前沢スポーツセンターのグラウンド・体育館などは、敷地活用策が別に決まり次第用途廃止とし、それまで最低限の維持を行うと明記した。

 対応方針に基づき供給量の適正化を図った場合、将来費用の推計結果では35年間の年平均施設コストが約33億円で、総合管理計画の見込み額から約18億5000万円の費用圧縮となる見込み。ただ、投資可能見込額(29億4000万円)との比較ではなお3億6000万円不足になるという。

 素案内容は市HPと、12月17~23日に5カ所で行う市民説明会で資料配付し、21年1月5日まで市民からの意見を募集する。

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