北上・西和賀

江釣子せり カモの食害 生産者、需要期に痛手 大雪影響か【北上】

カモの食害で根が食べられた江釣子地区のセリ(JAいわて花巻提供)

 北上市江釣子地区で栽培する特産「江釣子せり」がカモの食害で大きな被害を受けていることが29日、分かった。JAいわて花巻は、先の大雪で餌場を失ったカモがセリ田に集中したのが原因とみるが、需要期を迎えた中で生産者には痛手となっている。

 同JAによると、食害はセリの根や葉を中心に全体に及ぶ。栽培農家8戸のうち7戸で被害が発生し、4戸は全滅状態。全栽培面積約50アールの40%に当たる19・9アールが被害に遭った。

 現段階での推定被害額は農家により19~90万円、全体で287万円に上り、2019年度販売実績額796万円の36%に当たる。

 栽培農家は例年、食害対策として圃場(ほじょう)にかかしやネットを設置し黒いビニールをつるしたり、音の鳴る仕掛けをしたりと対策を施しているが効果は限定的。

 同JAでは、12月中旬の大雪で、稲刈り後の落ち穂がある水田が雪に覆われ、湧き水を使うため雪のないセリ田にカモが集まったとみている。

 同JAセリ生産組合の佐藤光子組合長(78)は「ここ数年は雪が少なく、今年はネットをかけずにいたら思わぬ大雪になった。収穫はまだこれからという時期なのに」と困惑。同市下江釣子の千田スミさん(88)は「半分ほど収穫したところで、家で食べる分も種にする分もなくなった」と肩を落とした。

 同地区は豊富な湧き水を利用したセリ栽培が古くから盛ん。人気の鍋物やおひたしのほか、七草がゆの材料にも用いられる。出荷は例年2月まで続く。

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