花巻

生活になじむ器 伝統窯「台焼」と共同開発 地域おこし協力隊・今野さん【花巻】

新作磁器「najimi」を共同開発した今野さん(左)と台焼の杉村さん
新作磁器「najimi」 フリーカップ3種

 花巻市地域おこし協力隊の今野陽介さん(24)は、125年の歴史を持つ同市湯本の伝統窯「台焼」と新作磁器「najimi(なじみ)」を共同開発した。日常使いで手になじむ形を追求したフリーカップ3種類で、オンラインショップなどで販売している。伝統工芸担当の今野さんは「職人の方と一緒に、お互いが気持ちの良いものづくりを発信することで花巻の工芸がさらに広がっていけばうれしい」と思いを込める。

 三重県出身の今野さんは2019年10月に着任。協力隊の活動で最初に訪れた工房が台焼といい、五代・杉村峰秀さん(60)に教わり制作を体験するうちに「生活になじむ柔らかい形の器をつくってみたい」と思い立ち、20年8月ごろに新作を提案した。理想的な形を求めて試作品を用意し、杉村さんと共に試行錯誤を重ねて今年1月に完成した。

 フリーカップは3種類あり、初代の勘兵衛から受け継ぐ「海図」は日の出、松、2艘の舟、海岸線の柵の四つの絵柄が海への憧れを表現。「糠青磁(ぬかせいじ)」は花巻の米ぬかを原料とした釉薬を使っており、青緑の優しい色合いが目を引く。「柊」は先々代が考案、先代が輪郭線の優しい花紋として形にした染付で、魔よけの意味が込められている。

 全体的な丸みをはじめ、手で持った時に小指が掛かる腰部分の曲線、厚めの飲み口など「生活と伝統を融合した形状が実現できた」といい、「焼き上がった時は言葉にならないほどうれしかった。お茶でもコーヒーでも一息つきたい時に使ってもらいたい。結婚式の贈り物としての注文なども受けている」と今野さん。「今後も市内にある素晴らしい工芸品、民芸品とコラボレーションすることで、自分なりに光を当てていきたい」と意を強くする。

 台焼は地元の金矢地方から出土する良質な陶石を使って磁器を生産。今野さんのこだわりを具現化しつつ、伝統的な釉薬、染付を施した新作に、制作する杉村さんも手応えを感じており、「完成した時の(今野さんの)目を輝かせて喜ぶ表情は忘れられないし、美術工芸への熱い思いが伝わってきた。さまざまな工芸の魅力を紹介していきたいという姿勢は僕らにとっての希望でもある」と期待する。

 「najimi」は受注生産で、3種類とも1個2500円(税込み)で販売。台焼のほか、今野さんが運営するオンラインショップ「日々工芸、花巻」で購入できる。

 問い合わせは今野さん=090(9746)3030=へ。

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