奥州・金ケ崎

3分室今年度末に廃止 利用者減、巡回車運行 水沢図書館【奥州】

水沢図書館の3分室廃止について了承した図書館協議会

 奥州市立水沢図書館の3分室が2020年度末で廃止される。同図書館は地区センターの1室を借りて水沢、南、常盤の3分室を設置。各分室は6~7000人が利用していたが、ピーク時に比較して7~9割減と低迷。公共施設の在り方が検討される中、利用状況を鑑みて職員を配置しての運営が難しいとの判断という。廃止後は各地区センターを移動図書館車の巡回コースに組み入れる考えだ。

 同図書館の分室廃止は、5日に市役所江刺総合支所で開かれた市立図書館協議会で提案された。

 同図書館の分室は、旧水沢市時代の1975年に旧常盤公民館に常盤文庫が設置され、続いて81年に大鐘分室を旧南公民館に開設。89年に水沢図書館が現在地に開設されたことから旧水沢図書館に水沢分室を開いた。公民館の改築などにより常盤は87年、大鐘は89年、水沢は2001年に移転した。大鐘は移転とともに南分室となった。

 現在、三つの分室は毎週火―土曜日の午後1~5時に開設。同図書館がまとめた1990~2019年度の利用実績によると、1990年度の3分室の貸出者数は水沢7348人、南7181人、常盤6311人だったが、2019年度は水沢1587人、南1964人、常盤711人。水沢は8割、南は7割、常盤は9割減となった。同図書館全体に占める割合も1990年度は25%だったが、2019年度は9%にとどまった。

 同図書館では、▽分室の蔵書スペースが不足して選べる本が少ない▽分室が狭く本を読む場所がない▽車社会の移行が進み分室ではなく図書館を利用―などを減少理由とみている。また、インターネットによる図書検索サービスが開始された1999年度を境に分室の貸出者数が大きく落ち込んでいる。

 現状を踏まえ、限られた予算、人材の中、効率的な運営を図るため今年度末での廃止を判断し、代替として移動図書館車を運行する。同図書館では、分室に代わる移動図書館車については2週間に1回のペースで運行し、これまでの分室と同様に午後の利用とする考え。貸出期間は分室の場合2週間だが、図書館車は1カ月となる。

 同協議会では「人口減少や他の公共施設の状況を考えると、8、9割減少している現状では廃止もやむなし」との意見が出され、承認された。

 市、同図書館では、同協議会での了承を受け、9、10、12日に振興会や利用者を対象にした説明会を開き、理解を求める考えだ。

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