一関・平泉

災害時 役に立ちたい 救助犬指導手が講演 一関修紅高

佐々木さん(左)が紹介した災害救助犬「ゆき」と触れ合う一関修紅高校の生徒

 一関市字東花王町の一関修紅高校(齋藤成一校長、生徒394人)で10日、災害救助犬についての講演会が開かれた。日本赤十字社県支部の防災ボランティアリーダーで災害救助犬指導手(ハンドラー)の佐々木光義さん(52)=大槌町=が、東日本大震災をきっかけとして人命救助活動に取り組んでいる思いを語った。

 「これからの地域を支えるために」と題して救急法基礎講習と共に企画され、特別進学、看護進学両コースの生徒約50人が聴講。

 佐々木さんは災害救助犬のゴールデンレトリバー「ゆき」、ホワイトシェパード「さち」を紹介。災害救助犬は人が好きで、がれきや大きな音などに動じない犬が適していると説明した。育成する団体はさまざまあり、ゆきとさちは一般社団法人ジャパンケネルクラブで訓練と試験を受けたが合格率は30%ほどと簡単ではなく、ゆきは1年、さちは1年半かかったと振り返った。

 震災当時、佐々木さんは東京都内で仕事をしていた。3日ほどたってから本県の情報を得られるようになり、東北道が通れなかったため日本海側を北上し帰郷。大槌高校体育館に身を寄せ、行方不明の人や実家の物を探す日々を送った。

 実家ではゴールデンレトリバーを飼っており、1週間ほど名前を呼びながら探し続けた。「津波が来る時に首輪を外していたら野生の本能で逃げられたのでは」「災害救助犬がいれば助かっていたんじゃないか」との思いがあり、東京の会社を退職して大槌に戻った後、「どうせ生きるなら人の役に立つ生き方がいい」と活動に携わっている。

 ゆきとさちは県警の嘱託警察犬でもあり、2016年には台風19号による豪雨災害で岩泉町に出動した。佐々木さんは「災害後の生存率は72時間が基準。1~3週間もたってから災害救助犬を現場に連れて行くのは違う、という意見もある」としながら「自分も震災で両親が行方不明になり、何でもいいから見つかればという気持ちがある。探しに来てくれた人がいて、無理かもしれないけれど見つかればいいなという思いになる。それだけでも役に立つ」と信念を語った。

 生徒はゆき、さちが佐々木さんの指示に従う様子を見学。小椋陵佑さん(17)=特別進学コース2年=は「かわいくて普通の犬と変わらないが、ちゃんとしつけられている。自然災害は本当に恐ろしい。大切な物をまとめ、非常食も準備したい」と話した。

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