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カメ類化石新種と判明 白亜紀、ほぼ完全な甲羅 久慈琥珀採掘場で発見【岩手】

久慈市の琥珀採掘体験場で発見されたアドクス・コハクの化石(平山廉教授提供、久慈琥珀博物館協力)
復元画を参照しながらアドクス・コハクの特徴を説明する平山教授(右)

 久慈市の久慈琥珀(こはく)博物館と早稲田大の平山廉教授は23日、2008年に同市の琥珀採掘体験場で見つかったカメ類の化石が新種だったと発表した。東北地方で新種のカメ類が発見されるのは初めて。久慈産の琥珀を広めようと、「アドクス・コハク」と命名された。約9000万年前(白亜紀後期)の化石と推定され、東南アジアがカメ類の進化の過程における重要な地域であることを示す貴重な資料という。

 平山教授らが盛岡市内で記者会見し、調査結果を報告した。

 化石は08年4月、同館が運営する琥珀採掘体験場で当時館長だった佐々木和久久慈市商工観光課学芸員が発見。カメ化石の専門家である平山教授が調査したところ、スッポンの仲間に近いカメ類「アドクス」で、アジアでも珍しいほぼ完全な甲羅と判明した。

 12年3月に同体験場周辺で集中調査を開始し、これまでに断片的な甲羅などの追加資料約260点が見つかっている。平山教授は新種であることを裏付ける調査研究を進め、今年2月に「アドクス・コハク」と名付けた論文を国際誌に発表した。

 アドクス・コハクは縁鱗(えんりん)と呼ばれる甲羅の周縁にあるうろこがアドクスの中でも目立ち、背中側の半分以上を覆っているのが特徴。甲羅の長さは最大60センチで、アジアのアドクスとしては最大。今回の発見により、日本を含む東南アジアがスッポン類などにつながるカメ類の進化・多様化において重要な地域であることが初めて明らかになった。

 大型の淡水棲カメ類の存在は、当時の東北地方の気候が熱帯だったことも示しているといい、平山教授は「恐竜類の生態を解明する上でも重要だ」と強調した。

 アドクス・コハクの化石は、24日から8月29日まで同館で特別公開される。新田久男館長は「久慈の地層は太古の生き物を発見できるタイムカプセルとして貴重。今後の発見にも大いに期待している」と話した。

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