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アプリで搾乳量向上 「スマート酪農」支援 岩手大開発

県農業研究センター畜産研究所が行った乳牛管理アプリ「デイリーアシスト」の実証実験=2020年5月、滝沢市

 岩手大の研究グループは、乳牛の健康状態をタブレット端末で管理できるアプリ「デイリーアシスト」を開発した。現場の経営ノウハウを精査し、搾乳量向上のための機能を厳選。操作が容易なのも特長で、ITを活用した「スマート酪農」で人材難などに悩む中小規模の酪農家を支援する。6日に北海道版を先行発売し、都府県版のリリースも目指す。

 中小酪農家は数十~数百頭の牛の健康状態を個別に把握し、給餌や搾乳だけでなく種付けや出産なども毎日管理する。ノートに記録を取る人もいるが、個人の勘と経験に頼る部分が多かった。アプリは岩手大農学部の岡田啓司教授らのグループが開発。獣医師として牛を長年検診し、管理指導を続けた経験と、北海道で収益を上げる酪農家の経営ノウハウを詰め込んだ。

 iPad(アイパッド)の画面上で、牛のアイコンを「授精待ち」や「妊娠中」などのエリアに移動させることで、情報が更新されるようにした。50~200頭分を同時に管理し、データに基づき中長期的な搾乳量を予測できる。生産寿命を延ばし、搾乳量を上げるのに必要な機能に絞り、月額料金を4900円(3カ月間は無料)に抑えた。

 国内では米国型の酪農が普及し、繁殖成績の悪い雌牛は短期間で転売、食肉化される傾向にあるが、岡田教授は「牛の幸せと酪農家の収益、両方を追求する一助にしてほしい」と話す。

 牛に取り付けたセンサーで発情や病気の兆候を早期把握する研究も進めており、今後、機能を充実させたい考え。アプリは6日から「App Store」でダウンロードでき、専門商社「稲畑産業」(大阪市)が販売する。【時事】

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