奥州・金ケ崎

齋藤子爵水沢文庫図書庫、閲覧所 登録有形文化財に 文化審答申【奥州】

齋藤子爵水沢文庫図書庫外観=奥州市教委提供
齋藤子爵水沢文庫閲覧所内観=奥州市教委提供

 文部科学大臣の諮問機関文化審議会(佐藤信会長)は16日、奥州市水沢字吉小路にある「齋藤子爵水沢文庫図書庫」「齋藤子爵水沢文庫閲覧所」の2棟を登録有形文化財(建造物)に登録するよう答申した。同市内ではこれまでに旧緯度観測所、後藤伯記念公民館など6件が登録されている。新たに加わる2件は齋藤實(1858―1936年)が郷土の子弟のため生家跡に建てた私設図書館。関係者は齋藤が残した遺産が末永く心に刻まれると喜んでいる。

 水沢文庫は朝鮮総督を辞任した翌年の1932年、齋藤が生家跡に建てた私設図書館。図書庫は海軍技師の設計による鉄骨鉄筋コンクリート造2階建ての施設。外壁はイギリス積風れんが貼りで腰の部分は石貼りで仕上げられている。階段手すりや金具に真ちゅうを使うなどの意匠も特徴的。

 閲覧所は図書庫の東側に隣接する木造平屋建て桟瓦ぶきで、水回りなど自邸としての設備も有する建物。入母屋造りの玄関、寄せ棟造りの屋根を雁行に重ねるなどの外観を持ち、内部は洋間、続き間座敷があり、閲覧所部分は建物南側で日光を採り入れやすくガラス窓が連なった明るい雰囲気を持つ。

 2件とも登録有形文化財の登録基準のうち「造形の規範となっているもの」として登録される。同市内では7、8件目で、県内では93、94件目となる。

 地元顕彰会の菅原志保子会長は「實が将来はここに住みたいと言って建てられ、春子夫人が26年間住まわれた所。文化財として登録されることで齋藤夫妻とその遺徳が市民、ひいては国民の心に末永く刻まれていくであろうと喜んでいる」と話している。

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