一関・平泉

ガラスで魅せる賢治世界 大下さん(福島県いわき市)作品展 東山・ミュージアム【一関】

石と賢治のミュージアムで企画展「ガラスで創る宮沢賢治の世界」を開いている大下さん

 福島県いわき市の硝子作家大下邦弘さんの企画展「ガラスで創る宮沢賢治の世界」は、一関市東山町の石と賢治のミュージアムで開かれている。賢治の作品や賢治が追い求めた世界をガラス工芸で表現した作品が展示され、訪れる人を魅了している。8月22日まで。

 大下さんは2011年から同ミュージアムで企画展を開いている。8回目となる今回は、同ミュージアムの鉱物展示室や双思堂文庫、旧東北砕石工場に「永久の未完成」「内惑星観測装置」「銀河流速測量機」「巌鷲」などと題した新作を含む15点を展示した。

 「永久の未完成」は謄写版がぼんやりと青い光を放つ作品。賢治が詩集「春と修羅」の第2集をガリ版印刷で出したがっていたということから着想し、大下さんがガリ版印刷の原紙に第2集の序文を書きガラスを組み合わせて創作した。

 「雲の信号」と題した作品はガラスを下からバーナーで熱しガラスの上に置いた石の重みで表面のくぼみを作った。琥珀(こはく)色の玉を持つ白い手が印象的な「貝の火」は左手から型を取って制作したという。「用事これありに付き明日出頭すべし」はガラスで制作したサケの頭とドングリの実を天秤(てんびん)にかけている様子を表現。「無方の空に」はガラス製の小さな無数の紙飛行機が瓶の中から飛び出し、散らばったように見える。

 「巌鷲」「内惑星観測装置」は望遠鏡や顕微鏡をのぞいて作品を鑑賞するように趣向を凝らしている。

 大下さんは「賢治が最晩年に尽力した東山にある石と賢治のミュージアムでの作品展示が気に入っている。作品を通じガラスという素材の自由さを感じてもらえれば」と話している。

 同企画展期間中の来月20、21日は旧東北砕石工場資料館で大下さんが電気炉でガラスを焼成するフュージングについて指導するワークショップも行う。定員は両日午前の部と午後の部各4人。参加料1000円(材料代)。

 問い合わせは同ミュージアム=0191(47)3655=まで。

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