北上・西和賀

ナス果実小陥没症 発生原因は“カビ” 県農業研究センターが解明 薬剤適時散布し防除を【北上】

ナス果実小陥没症の典型例。果実表面に小さな「くぼみ」が多数発生する=2015年9月、一関市内、県農業研究センター提供

 北上市成田の県農業研究センター生産環境研究部病理昆虫研究室は、県南部のナス産地で発生していた原因不明の「ナス果実小陥没症」について、ナスの葉に発生するカビの一種・褐色斑点病菌の胞子が感染して生じることを明らかにした。カビに強い薬剤散布で、既に被害発生抑止に成功。被害発生から10年がかりで原因解明に至った。8月中旬以降は薬剤防除が重要な時期だけに、同センターは適時散布を呼び掛けている。

 同症は果実表面に1、2ミリ程度の小さな「くぼみ」が多数発生する障害。本県では2008年、ナスの一大産地・一関市で発生し、13~15年にかけて頻発。収穫物の7割を廃棄した農家もあった。県内他産地でも被害が見られ、当初は個人的な栽培技術の問題や土壌環境、低温障害、薬害などさまざまな要因が考えられたが、どれも関連は認められず原因不明とされた。

 同センターでは17年から同市内の農家でバクテリア、カビに効く薬剤を散布する実証実験をした結果、カビに効く薬剤で農家の被害拡大防止に大きな効果が得られた。当初、農水省登録農薬は3種類だったが現在は8種類に増え、農家の防除対策に活用されている。

 同センターでは引き続き専用の機器を使い、病状を再現する実証実験を継続。発生した圃場(ほじょう)ではカビの一種である褐色斑点病の病斑が認められ、葉の裏で形成された胞子が飛散して果実に付着し6~8日で発病することが分かった。

 盛夏から気温が下がり、雨が多くなると発生しやすくなる傾向。被害の大小は品種によって異なるものの、品種の切り替えで被害回避は困難という。

 研究を担当した病理昆虫研究室の岩舘康哉主査専門研究員(42)は「せっかく収穫した生産物が大量に廃棄されている現場を見て、何とかしなければと思った。現場の被害防止に役立ててよかった」とし、「今回の原因解明によって、発生しやすい気象条件が分かった。短期集中して防除すれば秋の収穫にも影響は出ない」と強調。藤沢巧室長(57)も「前例がなくゼロから始めた成果。現場に役立つ情報を先に出し解明できた」と語る。ともに「特にこの時期の薬剤防除が重要。効果のある薬剤をローテーションで散布してほしい」と呼び掛けている。


 ナス果実小陥没症 果実表面に小さな「くぼみ」が多数発生する障害。農家の多くは「ボツボツ」と呼ぶ。食べることはできるが外観の品質が落ちるため、出荷不能となる。主に露地栽培で8月中旬から9月下旬に発生。収穫最盛期の盛夏期を過ぎ、気温が低下する時期に多くなる傾向。

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