北上・西和賀

遊び感覚で養蚕学ぶ ゲームブック作成 髙橋愛衣さん 市地域おこし協力隊員【北上】

ゲームブック「養蚕ってなんだ!?」を作成した髙橋さん

 北上市地域おこし協力隊員の髙橋愛衣さん(33)は「養蚕ってなんだ!?ゲームブック」を作成した。養蚕に関する設問で次々と選択しながら読み進み、遊び感覚で楽しみながら学ぶことができる一冊。各小学校などに配布し、児童に活用してもらう。

 かつて北上でも盛んだった養蚕を子供たちに知ってもらおうと、1年ががりで作成。文章や設問は自身で書き上げ、イラストは市内のイラストレーター2人の協力を得た。

 小学生の姉弟が、市内の祖母宅で初めて養蚕に挑戦する内容。読んでいくと次々と設問、選択肢が現れる。「桑の木にびっしり草や花が生えている」で、次に取るべき行動は「桑の邪魔だから取る」または「かわいそうだから取らない」を選び、「赤ちゃん蚕の最初のごはん(餌)」をどの程度あげるかは「いっぱいあげる」か「少しでいい」のどちらかを選ぶ。

 どれを選ぶかによって進むページ、獲得ポイントが異なり、より適切に選んで、多くのポイントを得れば収穫した繭の出来栄えが良くなる設定。各ページでは養蚕や文化、歴史に関する「まめちしき」が添えられている。

 養蚕の飼育過程のみならず、「養蚕農家のように、昔から生き物の命をいただき生活してきた人もたくさんいる。その代わり、生き物への感謝を忘れてはいけない」といった道徳的内容も盛り込まれている。

 髙橋さんは26日、市役所を訪れ、平野憲教育長にゲームブックを寄贈。「子供たちに楽しみながら読んでもらえれば」と託し、平野教育長も「市内で盛んだった養蚕を各小学校で学び、広めるきっかけになると思う。ありがたく活用させていただく」と感謝した。

 髙橋さんは横浜市出身。埼玉県職員を経て2020年4月に着任し、更木ふるさと興社で養蚕技術の習得に励んでいる。今回のゲームブックは「選択ごとにストーリーがつながり、養蚕のことは一通り分かる内容。イラストレーターにも協力いただき、よくできたと思う。子供たちにも養蚕に興味を持ってもらえたら」と思いを語っている。

 B5判、288ページで400部発行。主に小学校低学年から中学年向けで、北上市内の小学校17校と県立花巻清風支援学校の分教室、市立図書館に合わせて115冊贈るほか、通販もしていく。

 同市内では16年に最後の養蚕農家が廃業。18年に更木ふるさと興社が養蚕事業を始めている。

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