奥州・金ケ崎

結束強める「喝采」 継承太鼓に新曲 地域と一体 元気を 来年60周年 前沢中【奥州】

前中太鼓の新曲「喝采」と創作ダンスを披露する前沢中の生徒(同校提供)

 奥州市立前沢中学校(関向正俊校長、生徒341人)に伝わる前中太鼓の演目に新曲「喝采」が加わった。2022年に創立60周年を迎える同校の記念の取り組みで、8月19、20日に盛岡市で開かれた第21回全国中学校総合文化祭岩手大会の舞台で初披露された。節目を前に母校に新たな特色が加わり、生徒は演奏を担う応援団を中心に結束を強めている。

 前中太鼓は応援団活動の一環で、2003年に完成した「祭り」と「荘厳太鼓」の2曲を現在まで演奏。部活動の応援をはじめとする校内のほか、前沢地域の祭りや福祉施設などに出向いて演奏を披露し、親しまれている。

 節目に向けて作られた「喝采」は、全国的に人気の高い音楽グループ「和楽器バンド」の和太鼓奏者黒流(くろな)さんが作曲。黒流さんは以前、東日本大震災被災地の田野畑中に復興太鼓「希繋(きずな)」を楽曲提供しており、当時の教員との縁から前沢中の依頼を快諾した。

 コンセプトは地域に元気を与え、一体となれる曲。曲名の通り、手拍子を打てる場面も用意されている。新型コロナウイルスの感染拡大で時間や方法が限られる中、応援団は全国中総文祭に向けて黒流さんの指導を受けて習得した。

 全国中総文祭出演当日は応援団12人の演奏に加え、有志の生徒5人が曲に合わせて創作ダンスを披露した。応援団長の千葉颯真さん(3年)は「全員が覚え切れるか心配だったが、無事に染み付いた。練習やリハーサルよりも迫力を出せて楽しめた」と本番までを振り返った。前中太鼓を創始当時から知る担当の伊藤孝義教諭は「(「喝采」は)かなり演奏が難しく大作でもある曲。披露まで1カ月ほどしかなかったが毎回レベルアップし、子供の可能性のすごさを感じた」とたたえた。

 県独自の緊急事態宣言で全国中総文祭は一般非公開だったが、前沢まつりや地区の中総文祭など対外演奏の機会が今後予定されている。千葉さんは「全体的に楽しく明るく、ずっとたたきたくなるような曲。後輩たちにもぜひたたいていってほしい」と継承に願いを込める。

 同校は前沢町時代の1963年に前沢、白山、古城、生母の4校を統合して創立した。

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