花巻

人と人 出会う場に 「yae麩りん」八重樫さん “第二の人生”喫茶店開業【花巻】

「yae麩りん」の店内。八重樫さんがこだわりのコーヒーや焼き麩メニューなどを提供している
八重樫さんが第二の人生としてオープンさせた喫茶店「yae麩りん」

 花巻市鍛治町の八重樫和夫さん(60)が、実家の一角を使い、喫茶店「yae麩(ふー)りん」をオープンさせた。2020年12月にコーヒー製造・販売大手「キーコーヒー」(東京都)を定年退職後、長年温めていた夢を実現し、第二の人生を歩み始めた。メニューには、かつて祖父が製造していた焼き麩(ふ)を使った料理も並ぶ。コロナ禍の飲食店経営に不安を抱きつつも、八重樫さんは「祖父が残したものを生かし、幅広い年齢の人が集う場になれば」と願いながら店に立つ。

 八重樫さんは同市出身。大学卒業後、キーコーヒーに入社し、主に営業の仕事を担った。飲食店を自分で開くのは、ずっと胸に秘めていた夢。仕事柄、全国各地のカフェや喫茶店に出入りし、客と店主が会話を弾ませているのを目にしていた。「人と人が出会う店をやりたい」。50歳を過ぎたころから本格的に思い始め、喫茶店や飲食店を巡って情報を集めた。

 東京で定年を迎えて帰郷し、今年1月から開店準備を進めてきた。兄が不動産業を営んでいた店舗跡を改修工事し、6月のオープンにこぎ着けた。

 店は木目調の内装を意識。カウンター5席、テーブル6席と、こぢんまりとした店内で、ゆったりと落ち着ける雰囲気となっている。

 店名は名字から取った「yae」と、風鈴の音のように来店客に癒やされてほしいと、「麩」と「風鈴」を組み合わせて「麩りん」とした。

 八重樫さんは、コーヒーインストラクター2級やフードコーディネーター3級の資格も持つ。店では、こだわりのコーヒーや各種ドリンクを提供するほか、焼き麩をアレンジした料理を自慢とする。

 コーヒーを注文した客には、盛岡から仕入れた焼き麩で作った味付けラスクを添える。ランチでは、日替わり弁当(680円)と、牛すじ肉を煮込んだビーフカレーセット(580円)を用意。日替わり弁当のおかずに「お麩じゃが」「お麩チリ」「お麩のトマト煮」などを入れたり、カレーセットでは揚げ麩のトッピングを選べたりと、麩の多様な味わい方も伝える。

 コロナ禍で開店を広く宣伝できないものの、足を運んでくれる知り合いや地元住民らに支えられている。「『おいしい』と、直接お客さんの反応に触れられるのがうれしい。気軽に来て、ゆっくりしていってほしい」とほほ笑む。

 営業は火―土曜の午前10時~午後7時。テークアウトも行っている。問い合わせは同店=080(5821)9049=へ。

▲焼き麩をアレンジした料理が入る日替わり弁当の一部。右下のおかずが「お麩じゃが」

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