コロナ退散 安寧願い 宵闇に炎 赤々と 2年ぶりに萩荘野焼まつり【一関】
第44回萩荘野焼(のやき)まつり(実行委主催、岩手日日新聞社など後援)は11日、一関市萩荘の尾花が森キャンプ場で始まった。2020年は新型コロナウイルス感染防止のために実行委有志のみで行われ、同まつりとしては2年ぶりの開催。市民が制作した作品91点を含む461点が、新たに改良した野焼き窯に入れられ、12日朝まで一晩かけて焼き上げられる。
例年は地元の萩荘中学校の生徒らがまつりの準備段階から参加していたが、新型コロナの感染防止のため規模を縮小し、当日は関係者のみで開催。実行委20人が早朝から窯造りを始めた。窯の柱には、4日に行われた同キャンプ場の整備で伐採した杉の丸太が活用されている。
造り方が変わった今年の窯は、火をたきながらバタ材をくべていく従来のやり方から、火を付ける前に2メートルほどの高さまでバタ材を積む方法に変更。あらかじめ積むことで火の回りを遅くし、作品の割れを抑えられるほか、粘土の焼成に必要な温度の800度まで上げられるという。
バタ材を載せる作業は地元消防団らの協力を得ながらも長引き、開会式は1時間遅れてスタート。千葉泰男委員長が「コロナ禍で行事が中止される中、野焼まつりの火を燃やし続けたいという思いで44回目を迎えることができた。まつりを前に公園を整備し、まつりをやってみたいという若者が出てくれればよいと思う」とあいさつした。
供物や玉串、萩荘文化協会の千葉貞悦副会長による奉納の舞が窯の前にささげられた後、火を起こしてたいまつから窯に点火。
今回のまつりでは、作品の募集対象を一関市内在住者に絞り、思い思いに作られた作品が集められた。今回のまつりのテーマ「コロナ退散と心の安寧」に沿って、実行委により地蔵やアマビエ型のペンダントといった作品も制作された。
12日は午前7時から窯出しが行われ、特別審査委員を務める陶芸家の北澤与志夫さん(同市藤沢町)が作品30点ほどを選び、11時から表彰式が行われる。