奥州・金ケ崎

輸送中継で効率化 白金運輸と埼玉プロイコム 岩手―静岡、実証実験【奥州】

関係者に見送られ、出発するSHIROGANE絆リレー便の第1便

 白金運輸(本社奥州市江刺)と埼玉プロイコム(本社埼玉県春日部市)でつくる「白金プロイコム輸送変革協議会」は、ドライバー交代方式中継輸送に取り組む。今月から2022年2月まで実証実験を実施。岩手、静岡両県の往復約1300キロを3人のドライバーが交代しながら結ぶ。両社社長で同協議会の海鋒徹哉代表(48)は業界共通の課題としてドライバーの確保や働き方改革への対応を挙げ、「取り組みは単なる時短ではなく『運び方改革』によって輸送を最適化する」と新たな取り組みへの意気込みを語っている。

 物流業界では人手不足、ドライバーの高齢化といった問題が深刻化し、社会の要請する輸送力が保持できないとの懸念がある。24年4月からは働き方改革関連法に基づきドライバーの時間外労働の上限規制が適用され、1運行450~480キロが限度になると見込まれているという。

 今回の実証実験で行うのは「中継輸送」。一つの行程を複数のドライバーが担当することにより、物流の合理化、効率化が図られるとみられる。

 「SHIROGANE絆リレー便」と銘打った便では、岩手からパルプを静岡へと運び、静岡からは家庭紙(トイレットペーパー、ティッシュペーパーなど)を岩手に運ぶ。

 白金運輸によると、岩手―静岡間は600キロ余りで、3日間かかっている。行程に福島県国見町の白金運輸国見営業所、春日部市の埼玉プロイコム本社営業所の2中継点を設け、各中継点でドライバーはトラックを乗り継ぐ。

 岩手発のドライバーの場合は国見で、春日部から来たトラックに乗って岩手に戻る。これにより10時間ほどの拘束時間で帰宅可能になる見込みだ。国見―春日部(拘束時間見込み9時間)、春日部―静岡(拘束時間見込み10時間)も同様という。荷物の到着も8時間以上早くなるとしている。

 1日には奥州市江刺岩谷堂の白金運輸江刺RC路地センターで実証実験便出発式が行われた。

 式には、海鋒代表ら白金運輸、埼玉プロイコム関係者、総合効率化計画策定事業として補助を行う国土交通省東北運輸局関係者、荷主の三菱製紙北上事業本部関係者と丸富物流(静岡県富士市)の稲葉弘社長が出席。テープカットやドライバーへの花束贈呈、記念撮影が行われ、出発便を見送った。

 海鋒代表は、今回の実証実験に当たり「運び方改革」を提唱。「働き方改革で単なる時短に動くのではなく、業界全体の課題にどう取り組むかを考え、ドライバー交代方式とした。まずは静岡と岩手を結ぶ便で実験を進め、冬季トラブルへの対応も検証する」という。

 実証実験の先には、鉄道やフェリーなどと組み合わせる「ベストモーダルミックス」「小口混載」「フィジカルインターネット中継ポイント」など今後の展開も視野に入れる。海鋒代表は「最適化を図ることによって持続可能な物流システム構築を進めたい」と意欲を示す。

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