奥州・金ケ崎

新体制で伝統継承 奥野流富士麓行山鹿踊 庭元、担い手代替わり【奥州】

駒形神社に演舞を奉納する奥野流富士麓行山鹿踊の舞い手

 奥州市水沢佐倉河に伝わる奥野流富士麓行山鹿踊(ふじふもとぎょうざんししおどり)は、2021年度から担い手が代替わりして活動している。新型コロナウイルスの影響で稽古の成果を披露する機会がなかったが、11月には同市水沢の駒形神社に舞を奉納。市民芸術文化祭「郷土芸能の祭典」にも出演した。

 同鹿踊は1889(明治22)年に佐倉河の栃の木地区に伝わったとされる。1953年には旧佐倉河村の無形民俗文化財に指定され、指定は旧水沢、奥州両市にも引き継がれた。伊達吉村墓参供養での仙台市公演(54年)や首相官邸での演舞(61年)など特別な公演も経験したが、近年は担い手不足で出演の機会が減少していた。

 何とか伝統を引き継ごうと、4月に佐倉河在住や同地区にゆかりのある経験者4人が集結。新たに小林隆行さん(44)=同市水沢字川原小路=を庭元とする新体制となった。

 地区内の先人供養碑の前で舞って継承を誓ったが、その後は県内で新型コロナの感染が拡大。長らく演舞できずにいたがめげずに練習を続け、舞い手は7人を確保した。

 今月28日の奉納は同神社に申し出て実現した。小学生から50代までの舞い手6人が鳥居と本殿の前で門付けの「ほめ歌」を歌った後、演目「一の庭」を披露。七五三の時期ということもあり、訪れていた多くの参詣者から拍手を浴びた。

 また、同日に市文化会館(Zホール)で開かれた「郷土芸能の祭典」でも「一の庭」を舞い、新体制を内外にお披露目した。

 伝統で定められた8人の舞い手には足りず、装束や道具の傷みが激しいなど課題がある一方、担い手の子供ら小学生や高校生の新たな参加もあり、雰囲気は明るい。小林庭元は「奉納演舞ではブランクがあり思ったほど動けなかったが、天候に恵まれて何よりだった。舞台ではみんな生き生きとやり切れた」と充実した表情。「若い人たちも入ったので温かく見守ってほしい。8人そろったところも見てもらいたい」と活動に意欲を見せている。

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