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特大和太鼓 堂々完成 関係者にお披露目 県南の職人3人が制作【岩手】

職人の技術が盛り込まれたオーダーメードの特大太鼓。初鳴らしで重厚な音色を響かせた

 県南地方でものづくりに励む3人が協力し、半年間かけて作り上げた特大和太鼓が7日、関係者にお披露目された。岩手好きの個人がオーダーした一点物で、随所に職人技を盛り込んだ逸品。中心となって制作に当たった小山太鼓店(一関市室根町矢越)に職人らが集まり、こだわりが詰まった特注品の完成を喜んだ。

 ものづくりの現場を公開するオープンファクトリー「五感市」でつながりを深めた同太鼓店の小山健治さん、翁知屋(平泉町平泉)の佐々木優弥さん、彫金工芸菊広(奥州市江刺愛宕)の及川洋さんが制作を担当。今春、岩手のファンという県外の依頼主から「地元の祭りに寄付したい」とオーダーを受け、細やかな注文のやりとりを重ねながら6月から制作に着手した。

 樹齢約300年という栃木県産ケヤキ材を使用。胴の内側全面を金箔(きんぱく)で覆ったほか、外側の四方に取り付けた金具には四神獣の彫金を施し、見えなくなる部分も彩る粋な豪華さと力強い彫金で造形美を表現した。鼓面直径約1メートル、胴部分約1・2メートル、重さは約300キロ。希少木材から得られる音の重圧感や反響音は圧巻で、金箔を貼ることによる独特の余韻も味わい深い。

 この日は完成発表会と初鳴らし出陣式があり、制作過程の動画を上映しながら3人が苦労やこだわりを紹介。仕上がった和太鼓が披露され、ばちを持った代表者が末広がりの意味を込めて8回太鼓をたたいた。

 小山さんは「お客さまの要望を実現するために3者でコラボし、試行錯誤しながら無事完成させることができた。特別な伝統工芸の技術と魅力を詰め込んだ、岩手でしかできないオーダー和太鼓。協力してくれた素晴らしい職人やサポートしてくれた人たち感謝したい」と語り、今後自信作を依頼主に納品するという。

 五感市を支援する「世界遺産平泉・一関DMO」の松本数馬代表理事は「この取り組みの成果として今回、太鼓のオーダーをいただいた形。メンバーがそれぞれの力を発揮し、一つの作品に作り上げることができと思う」と振り返った。

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