県内外

重症患者を集中治療 感染症対策センター完成 岩手医大、25日稼働開始

テープカットで感染症対策センターの完成を祝う関係者ら
陰圧管理されているセンター内。病室には必要に応じてエクモが配置され、重症者対応に使われる

 岩手医大(小川彰理事長)が、矢巾町の同大附属病院敷地内に整備を進めていた新型コロナウイルス重症患者向け病棟「感染症対策センター」(6床)が完成し、落成セレモニーが15日現地で行われた。新型コロナ重症患者を集中治療する県内初の施設で、25日に稼働開始する。

 同附属病院では、感染拡大時に新型コロナ重症患者を複数受け入れたことで、一般の高度医療が制限された経緯がある。このため重症患者の受け入れといった新型コロナ対応と、新型コロナ以外の高度医療提供との両立を図ろうと、新型コロナ重症患者を中心とする病棟を附属病院とは別棟で整備することにした。

 昨年11月に着工し短期間で整備。建物は軽量鉄骨造り平屋建てで、床面積は約580平方メートル。病室内の空気を他の部屋に逃がさないよう施設内を陰圧管理し、人工呼吸器や体外式膜型人工肺「ECMO(エクモ)」、CT(コンピューター断層撮影装置)など必要な医療機器類を備える。スタッフは医師のほか、看護師は最大約20人。総事業費は県の補助を含め約5億円。

 これまで附属病院のICU(集中治療室)で複数の新型コロナ重症患者を受け入れた場合、がんや脳卒中など一般の重症患者への医療提供に支障を来す心配があったが、新施設稼働を機に院内ICUでの感染防止と新型コロナ以外の高度医療の安定提供が期待される。

 セレモニーは関係者約30人が出席して行われ、小川理事長ら5人によるテープカットで施設の完成を祝った。小川理事長は「院内にコロナが蔓延(まんえん)しないよう病院とは別棟とし、重症患者の集中治療を念頭に陰圧管理される病床に装置を設置し、迅速、万全な治療の提供を可能としている。コロナ収束後は新興感染症の対応にも活用し、広範な感染症対策に資する施設として継続的に運営していく」と述べ、八重樫幸治副知事は「コロナ重症患者への対応強化に加え、通常医療の3次救急医療体制の確保にもつながる。将来新たな感染症が発生した場合でも迅速な対応が可能となるなど、本県医療の充実に大きく寄与する」と期待した。

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