北上・西和賀

丸々移設 ホテル整備へ 宮城・気仙沼の建物分解、運搬、組み立て 8月オープン目指す エンシン・北鬼柳地内【北上】

地鎮祭であいさつするエンシンの原田常務。既存ホテルをリユースし移設する=27日、北上市北鬼柳

 不動産業のエンシン(本社大阪市、原田豊社長)は、宮城県気仙沼市のホテルを北上市北鬼柳地内に移設し、8月にオープンする。同社によると、使用していたホテルを丸ごと移動させるのは国内初。既存建物のリユースで工期が短く低コストな上、環境にも優しくSDGs(持続可能な開発目標)にも沿う試みと言えそうだ。

 東日本大震災の復興需要を見込み、同社は2014年に気仙沼市にホテルをオープン。当初から移設を前提に建設し、復興需要が一段落ついたことで、半導体大手子会社・キオクシア岩手の2棟目建設で工事関係者らの宿泊施設が不足している北上市に移設を決めた。

 分解から移設、オープンまでの事業費は約1億5000万円で通常の建設時より半額以下。2部屋一組で分解してトレーラーで運搬し、移設先でブロック玩具のように組み上げていく。

 気仙沼では4月いっぱいで運営を終え5月から分解し、北上では整地などを進める。6月に運搬し、北上で再度組み立て7月に設備関係や給排水、外構などの工事を行い8月上旬のオープンを目指している。

 需要が少ない場所から多い場所に「動産」として移動し、再度不動産となる。需要が一段落すれば再度、ニーズのある場所に移設し、ホテルのほか災害時の住宅や学生寮、社宅など幅広く柔軟な利用が可能。今回の工期はわずか3カ月で、通常に比べスピーディーに完成できる。

 地鎮祭は27日、現地で行われ、同社関係者や施工業者ら約20人が出席。エンシンの原田豊隆常務取締役(37)らがくわ入れし、玉串をささげて工事の安全を祈願した。

 ホテルはコンテナタイプの3階建てで、延べ床面積は862・66平方メートル。シングルで48室を設ける。気密性、断熱性が高いモジュール工法で建設し、遮音性も高いという。

 原田常務は「日本は災害大国だけに、台風や風水害などに急きょ対応できるホテルを目指してきた。普通のマンションのように遮音性もきっちりしており、北上でも長期間利用いただければ」と説明。運営業務を担う北上市村崎野のホテル、宿泊業インキーパー(渡辺克也社長)の関欣哉さん(60)は「不動産は一度建てると動かせないが、需要のある場所に動かせるのが最大の魅力。今までは壊すしかなかったが、一番必要な場所で再度活用できる」と利点を強調する。

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