花巻

花鳥、山水 見応え 修復の小野寺周徳作品も 花巻市博物館テーマ展「屏風と襖」

3年がかりの修復を終え、額装に仕上げられた小野寺周徳の「花鳥図屏風」
「花籠図屏風」(右)と「花鳥図襖」(左奥)

 花巻市高松の市博物館でテーマ展「屏風(びょうぶ)と襖(ふすま)」が開かれている。3年がかりの修復をこのほど終え、初めて公開された小野寺周徳(1759~1814年)の「花鳥図屏風」をはじめ、花鳥や山水、人物を描いた同館所蔵のびょうぶなど18点を紹介している。

 初公開の周徳の花鳥図屏風は「梅」「梅に川蝉」「柳に雲雀」「花と蛙」「鴨」「鶏」が描かれている。もとは六曲一双のびょうぶだったが、傷みが激しくびょうぶから絵を剥がして新たに額装に仕立てられ、丁寧な彩色と緻密な画面構成が目を引く。作者の周徳は「花巻の三画人」の一人で、江戸で医術の修業中に当時の画壇の中軸的存在だった谷文晁に学び、花巻城改修の際にふすま絵やびょうぶを描くなど花巻地方の画人の先駆的存在だった。

 花鳥画のうち左右に広がる松の枝の上を鶴が飛ぶ「花鳥図襖」は、花巻城本丸内で使われていたと伝えられる品。常設展ではこのふすまの複製が展示され、比較して鑑賞できる。

 人物を扱ったものでは、琴と碁、書、絵の中国古来の文人の風流ごとを描いた八重樫豊澤(1763~1842年)の「琴棋書画図屏風」や、親や姑に孝行を尽くした中国の人物たちの逸話を題材にした湯川玉僊(1812~没年不明)の「二十四孝図屏風」など、六曲一双の大画面の見応えのある作品が並ぶ。山水画のうち橋本雪蕉(1802~77年)の六曲一双のびょうぶは、樹木や山並みが筆を横に倒して点を幾つも連ねる「米点」で表現されている。

 現代の日常生活の場からほとんど消えてしまったびょうぶ。本来は空間を仕切ったり、遮蔽(しゃへい)したり、風をよけたり、室内を装飾したりと調度品でもさまざまな用途に使われ、デザインも個性や流行を取り入れて制作される一方で、儀礼的な場では画像や画法に制約があったという。同館の小原伸博学芸係長は「なかなか見ることがなくなったびょうぶ。びょうぶのある空間の圧倒的な迫力、存在感を堪能してほしい」と話す。

 テーマ展は26日まで。開館時間は午前8時30分~午後4時30分。

地域の記事をもっと読む

花巻
2024年4月25日付
花巻
2024年4月25日付
花巻
2024年4月25日付
花巻
2024年4月25日付