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考古、民俗学から見る赤 岩手県立博物館企画展 祭器や仏像展示

県立博物館で開かれている「赤色」をテーマにした企画展。県内で出土した赤彩土器などが並ぶ

 県立博物館の企画展「赤色に宿るチカラ」は、盛岡市上田字松屋敷の同館で開かれている。旧石器時代から昭和の時代に至るまでのさまざまな歴史資料が並び、「赤色」が社会の中で果たしてきた役割や人々の認識の移り変わりを伝えている。8月21日まで。

 企画展は、赤色を考古学や服飾の観点から見た第1、2章と、民俗学の観点から人々の赤色に対する認識の変化を追った第3、4章などで構成。岩石や土器、仏像、掛図など300点を超える展示品が並んでいる。
 このうち「赤の考古学」と題された第1章では、北海道で出土した約2万5000年前のクレヨンなどを紹介。赤い鉱石を握りやすい形状に加工しており、当時の人々が色材として利用していたことがうかがえるという。県内で出土した古墳時代の坏(つき)やつぼなども展示。北東北の蝦夷(えみし)が土器に独特の赤彩文様を描くようになったことから、8世紀前半までは祭器(儀礼具)として使用したと推察している。
 第3章では「異形・異界の赤~赤の民俗学」と題し、赤にまつわる神や仏、鬼、てんぐなどに注目。紫波町指定有形文化財の「木造不動明王坐像(ざぞう)と脇侍像」では、不動明王がインドの神話に登場する霊鳥「ガルダ」を模した「迦楼羅焔(かるらえん)」を背負い、仏法に従わない者に対する怒りが赤々とした炎で力強く表現されている。
 このほか、疱瘡(ほうそう)よけとしての赤い衣服や郷土玩具なども展示されている。
 同館の近藤良子主任専門学芸員は「古来から先祖たちが願いを込めた赤色に関するいろいろな分野の資料を展示している。ぜひ足を運んで新しい発見をしてもらいたい」と話している。
 開館時間は午前9時30分~午後4時30分(入館は4時)。休館日は基本的に月曜。問い合わせは同館=019(661)2831=へ。

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