奥州・金ケ崎

草花愛好者と交流楽しく 庭園公開、無料に 江刺・田原 及川さん【奥州】

斜面を生かして造られたヒロガーデンの一角

 奥州市江刺田原の自宅に庭園「ヒロガーデン」を整備し公開している及川ヒロ子さん(71)は、今季から入園を無料にした。同市のオープンガーデン文化を引っ張ってきた及川さんにとって大きな転換で、重点を来園者との交流に移し、自身を含む庭や草花の愛好者が一層楽しめる場としたい考えだ。

 及川さんは釜石市生まれ。父進さん(故人)の日本庭園がある実家の敷地内に自宅を設け、花卉(かき)やガーデニングの学歴、職歴、資格を生かし、20年以上かけてヒロガーデンを整備。オープンガーデンいわての設立に寄与し、オープンガーデンおうしゅうの初代会長も務めた。

 現在は約1・3ヘクタールの敷地内にターシャガーデン、モネの池ガーデンなどテーマ別の七つの庭を整備。4~7月に公開している。300種以上の草花があり、庭の様子は公開の4カ月間だけでも大きく変化する。斜面を生かした景観、ビューポイントにベンチを設けるなど、来場者が楽しめる工夫を凝らしている。

 これまでは「自由に入って出て行けるのでは意味が無い。有料だからこそちゃんと整備しよう」と、張り合いを保つ思いから300円の入園料を設定してきた。

 長年の公開を経て、「年も取り、区切りを付けておきたい。急ぐ人、ゆっくり見たい人などいろいろな来園者がいる中、無料だからこそできることもある」と決断した。

 新たに始めた芳名帳設置は、遠方からの来場者やリピーターとの交流の糸口につながっており、「場所ごとの良さを伝えたい」と積極的に案内している。

 交流を重視する信条として「庭造りは自由。どう考えて造るか、そこに何の干渉も必要ない。造る人によって庭への考え方が違うということでもある」と語る。「来ていただく人にもそれを知ってもらうには、話をするのが一番。公開する意味を突き詰めれば、楽しんで見ていただくことに行き着く」と思いを示す。

 「気持ちが少し楽になったところもある。考えが変わっていくなりに庭も変わるのが大切」と心境を語り、残りの公開期間も手入れに励む。

 国道397号沿いの入り口に「公開中」の看板が出ている日に入園でき、芳名帳記入のほか、交流のため入り口にあるチャイムを押してほしいと呼び掛けている。

 遠方からの来園者に向け、公開日の問い合わせにも応じている。電話番号は0197(32)2210。

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