一関・平泉

幽玄の世界いざなう 3年ぶり「薪能」上演 中尊寺【平泉】

降りしきる雨の中、かがり火に照らされた舞台で上演された能「国栖」の一場面

 喜多流第43回中尊寺薪能(中尊寺薪能の会主催)は14日夕、平泉町の同寺白山神社能舞台で行われた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で3年ぶりとなる公演では能「国栖(くず)」などの演目を上演。舞台中盤から雨模様となったものの、約500人の観衆が杉木立に囲まれた中、かがり火に照らされた舞台で展開される幽玄の世界を堪能した。

 新型コロナ感染予防のため観客席を例年の半分に減らした中、「国栖」と和泉流狂言「孫聟(まごむこ)」の2番のほか、仕舞「田村」「高野物狂」を上演。「孫聟」は、初めて妻の実家を訪れた婿と口うるさい祖父のやりとりを描いた物語で、シテ(主役)の祖父を人間国宝の和泉流狂言師・野村万作さん、アド(相手役)の聟は実の孫・裕基さんがそれぞれ務めた。

 「国栖」は、古代日本最大の内乱とされる壬申の乱を扱ったもので、物語性と舞踊性にあふれる痛快で迫力ある作品。シテの蔵王権現と老人の二役を同寺ゆかりの喜多流能楽師佐々木多門さん、追手の兵を万作さんの息子萬斎さんがそれぞれ扮(ふん)し、野村家は演目こそ違ったものの、親子孫3代が同じ舞台に立った。

 自身も舞台に立った経験がある佐々木文子さん(79)=一関市萩荘=は「屋外の良さもあるが、ここの舞台は音の響きや広がりがすばらしい」と、かがり火の中繰り広げられる演目にじっくりと見入っていた。

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