花巻

賢治世界 音楽や映像で 多彩にイーハトーブフェス【花巻】

イーハトーブフェスティバル2022。宮沢賢治童話村に設置された大型スクリーンでコンサートなどが上映された

 宮沢賢治の多様な魅力を探るイベント「イーハトーブフェスティバル2022」(賢治フェスティバル実行委主催)は27、28の両日、花巻市高松の宮沢賢治童話村で開かれた。各界で活躍するアーティストの音楽演奏やインタビュー、ドキュメンタリーなどが童話村の大型スクリーンに映し出され、多くの人がその魅力に触れた。

 2日目の28日は、県立花巻農業高校鹿踊(ししおどり)部の郷土芸能「鹿踊」、音楽家原摩利彦さんが構成・作曲を担当した「100年後のレコードコンサート」、アニメーターで映画監督の高坂希太郎さんが自転車で夏の花巻を巡り心に広がる花巻の風景を絵日記で記したドキュメンタリー「イーハトーブの地図~心に映る風景~」が上映された。

 このうち100年後のレコードコンサートは、賢治の詩集「春と修羅」収録の「電車」「天然誘接(よびつぎ)」が書かれてちょうど100年後の今年8月17日に同市東和町の田瀬湖畔で収録された。ウグイスのさえずりや風など自然の音が取り入れられた楽曲が、太陽の昇り沈みで色が変わる空を映した湖面や深緑の山並みの映像とともに上映された。

 演奏曲の中にはこのコンサートのために書き下ろした曲「VENTUS(風)」も。原さんは「100年後の同じ日付の花巻の土地で演奏すると、四次元世界で時間の目盛りを100ほど戻せば彼が生活していた空間につながるのではないか。きょう演奏した音がそのままではなく、彼が生きていた時の風の音に変わって伝わったら」と曲に込めた思いを語った。

 演奏は大画面で放映され、会場に訪れた同市東和町の主婦(45)は「屋外で音楽を聴くのは久しぶり。すごく心に響いた。忙しい日々の暮らしを忘れ、一人になって心(の緊張)がほぐれた感じがする。今度は生で聴いてみたい」と話していた。

 イーハトーブフェスは、著名なゲストを迎え、芸術文化に大きな影響を与えた賢治の作品世界の魅力を多面的に発信しようと開催。3年ぶりの開催となった今年は事前収録した映像を会場と動画投稿サイト「ユーチューブ」の公式チャンネルで同時配信した。後日収録を編集した映像のアーカイブ配信も予定している。

地域の記事をもっと読む

花巻
2024年3月29日付
花巻
2024年3月29日付
花巻
2024年3月29日付
花巻
2024年3月29日付