花巻

賢治世界思いはせ 命日に作品朗読や講話【花巻】

「雨ニモマケズ」を朗読する花巻小の4年生

 宮沢賢治の命日となる21日、花巻市若葉町の市文化会館で2022年度「賢治祭」が開かれた。3年ぶりに県内外の賢治ファンら約300人が集い、賢治作品の朗読や講話、演劇、賢治が愛した鹿踊(ししおどり)の上演などを通じて、賢治の業績をしのんだ。

 宮沢賢治記念会の主催で、賢治の命日に毎年開かれているが、新型コロナウイルス感染拡大により2年連続で中止。90回忌となる今年は会場を同市桜町の「雨ニモマケズ」詩碑前から同会館に移して感染対策を徹底し、参加者数の上限を設けて開催した。

 参加者の黙祷(もくとう)に続き、賢治の後輩に当たる市立花巻小学校4年生10人による「雨ニモマケズ」の朗読で開会。同記念会の佐藤良介理事長はあいさつで「3年ぶりにやっと開催することができた」と感慨深げに語り、「ここ市文化会館は賢治が教鞭(きょうべん)を執った稗貫農学校(現花巻農業高校)があった所。賢治をしのび、賢治の作品世界に思いをはせてほしい」と呼び掛けた。

 上田東一市長による歓迎の言葉、宮沢賢治学会イーハトーブセンターの岡村民夫代表理事のあいさつに続き、賢治の弟清六の孫で林風舎代表取締役の宮澤和樹さんが「羅須地人協会」と題して講話。県立花巻南高校演劇部が演劇「贋作(がんさく)・銀河鉄道の夜」を上演、春日流鍋倉鹿踊のメンバーが一番庭、案山子(かかし)踊を舞った。

 「羅須地人協会」と題して講話した宮澤さんは、農学校を退職した賢治が農民たちを集めて農業技術や農業芸術論などを講義した建物が移転を繰り返し、現在地(県立花巻農高敷地内)に移築復元された経緯を解説。入口の「下ノ 畑ニ 居リマス 賢治」という文字は復元整備の際に祖父・清六が賢治の筆跡をまねて書いたものが受け継がれていることを紹介した。

 最後には会場全体で「星めぐりの歌」と「精神歌」を歌い上げた。

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