創作の源泉にメキシコ 利根山光人記念美術館で企画展 現地収集仮面も紹介【北上】
北上市立利根山光人記念美術館の2023年度前期企画展「VIVA MEXICO(ビバ・メヒコ)」は、同市立花の同館で開かれている。メキシコを題材にした情熱的な作品を多く手がけ、「太陽の画家」とも称された利根山光人(1921~94年)の関連作品を紹介しており、来館者の関心を引いている。6月1日まで。
利根山は、1955年に東京国立博物館で開催された「メキシコ美術展」に強い刺激を受け、59年に初めてメキシコに渡った。以降、たびたび訪問し64年に同国で個展を開催。同国政府から2度にわたって勲章を受章した。
72年には県芸術祭の審査員として来県。同市に立ち寄った際に当地の民俗芸能に感銘を受け、74年に市内にアトリエを構え約20年にわたって制作を続けた。
今回の企画展では同市所蔵作品の中からメキシコに関連する作品32点が紹介されているほか、市生涯学習センター(同市大通り)のギャラリーでは利根山が収集した鬼の館所蔵のメキシコの仮面19点が展示されている。
単色系の色使いが印象的な「コーラ族の祭り」3作品や「メキシコの鹿踊(ししおどり)」(シルクスクリーン)、「雨神(マヤ)」(油彩)など、見る者に強い印象を与える作品が並び、来館者は一点一点じっくり鑑賞していた。
同館専任研究員の菊地仁美さんは展示作品の魅力について、「民俗芸能は人間の思いや情念のようなものをシンプルな形に昇華させたものではないか。だからこそ、どの作品も画面に強さがありユーモラスでもある。利根山が引かれた鬼剣舞や鹿踊りにも通じるのでは」と語る。さらに「くしくも6月16日から東京国立博物館で『古代メキシコ』展が始まるが、まずは利根山作品を通してメキシコの魅力を感じ取ってほしい」とPRしている。
開館時間は午前10時~午後4時(入館3時30分)。入館料は一般300円、高校生120円、小中学生60円。定住自立圏内(北上、奥州、金ケ崎、西和賀各市町)の小中学生は無料。問い合わせは同館=0197(65)1808=へ。
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