露天風呂と新緑満喫 今シーズン温泉開き 夏油【北上】
古くから「秘湯」として県内外の観光客に親しまれている北上市和賀町岩崎新田の夏油温泉で12日、2023年度の温泉開きが行われた。新型コロナウイルス感染拡大で苦境に立たされていたが22年度から回復傾向で、関係者は今シーズンの商売繁盛と安全、新型コロナの影響による苦境からの反転攻勢を期した。
温泉開きは近年縮小していたが、4年ぶりに通常規模で開催。関係機関・団体から約20人が出席し、神事では夏油温泉開発連絡協議会長の八重樫浩文市長、八重樫七郎市議会議長、元湯夏油、夏油温泉観光ホテルの関係者らが玉串をささげた。
八重樫市長は「今年は雪が少なく(温泉に通じる)県道夏油温泉江釣子線が4月28日に開通し、大型連休に間に合い、いいスタートが切れた。今年度は通常ベースでお客さんに『秘湯』に来ていただき、宿泊数が増えると期待している」とあいさつ。地元の岩崎鬼剣舞保存会員が「一人加護」で勇壮な演舞を奉納した。
同協議会によると、同温泉の入り込みは新型コロナ感染拡大前の19年度は1万3951人で、新型コロナ後の20年度は9268人、21年度は8983人に減少。22年度は県外宿泊客を中心に1万2547人まで回復した。今年度も例年通り11月上旬までの営業で、新型コロナ前を上回る1万4000人を目指している。
元湯夏油は日帰り入浴、宿泊とも4月28日に今シーズンの営業を開始。運営する株式会社夏油温泉の髙橋京悦常務取締役は「昨年9、10、11月と今年の大型連休中は新型コロナ前の例年通りお客さんに来ていただいた。一泊のみならず連泊も増え、明るさも見えてきている」と手応えを語る。
4月28日から日帰り入浴、5月1日から宿泊客を受け入れている夏油温泉観光ホテルの阿部峰夫総支配人は「連休中は満室で、営業できて非常によかった。昨年はキャンペーンでお客さんが来て、今年はここ数年来られなかったお客さんからも予約も入っている」と期待感をにじませた。
温泉開きの12日も、「秘湯」を目当てに観光客が訪れ、大自然の下で露天風呂を満喫した。約30年ぶりに訪れたという宮城県東松島市の佐藤精孝さん(76)は「新緑や沢の渓流の音が何ともいえない。かなり熱いが、意外と滑らかな湯でいい。夏か秋の紅葉の時期にまた来たい」と笑顔で話していた。
電子新聞momottoで紙面未掲載写真を公開中