野鳥細部までこだわり 木彫りや切り絵など多彩 鬼の館合同作品展【北上】
北上市で活動する野鳥の木彫り「すずめの会」(石坂正直代表)と切り絵サークル(小倉善文代表)の合同作品展は、同市和賀町岩崎の市立鬼の館で開かれており、細部までこだわりを持って表現された多彩な作品が来場者を魅了している。28日まで。
すずめの会は2020年に結成され、今回は5人がスズメをはじめ、猛きん類や水鳥など35種、130点を展示している。会員自ら撮影した写真や観察に基づく作品もあり、止まり木で羽根を休める様子や羽根を大きく広げて飛び立つ姿、立体的な色の重なりなどありのままに再現。流木のオブジェや巣箱なども雰囲気を演出する。
形を切り出した木材を彫刻刀ややすりで整え、焼きごてで羽毛の質感を出してアクリル絵の具で色付けするバードカービングの制作工程も紹介。石坂代表は「鳥が好きな人、木を削るのが好きな人の集まりなので、完成度よりも楽しんでいることを感じてほしい」と来場を呼び掛ける。
一方の切り絵サークルは、会員5人のうち4人が27点を出品。鬼剣舞やさんさ踊りといった伝統芸能のほか、月面やホオズキ、クジャクの羽根、クジラなど精巧に切り取られた作品がずらりと並び、中にはコンクールで入選したハイレベルな力作もある。
川辺学さん(63)=同市二子町=が手がけた第74回中央美術協会展入選「護(まも)る」は、世界を分ける門の前に四天王像が立ちはだかっている作品で、平和の願いを込めてウクライナカラーに彩色。川辺さんは「くっきりした線、輪郭があり、色を入れていくことで水彩、油彩画とは異なるニュアンスが出てくる。そこを見てほしい」と語る。会場の企画展示室は観覧無料。開館時間は午前9時から午後5時(入館は4時30分)まで。