滝ダムで事前放流 県営初 台風5号に備え【岩手】
県は9日、台風5号の接近に伴い、洪水対策として久慈市の滝ダムで貯水量を前もって減少させ、河川の流量増に備える事前放流に入ったと発表した。洪水対策で県営ダムの事前放流を行うのは初という。
国からの予測降雨のデータを受け、シミュレーションを行った結果、10日夕方から12日夕方にかけて最大450ミリの雨量が見込まれ、滝ダムの最大容量760万立方メートル、最高水位82メートルを超える危険があると判断。県が2020年8月に発電事業者である県企業局と結んだ「久慈川水系治水協定」に基づき、事前放流を決定した。
9日正午、通常の倍となる毎秒10立方メートルを目標に放流を開始。約40時間で約90万立方メートルを放流して水位を42・7メートルに下げ、約635万立方メートルの空きを確保して洪水調節機能を強化する。
県県土整備部河川課の菊地博流域治水課長は「流量が増える長内川の流域には近づかず、大雨情報に注意して早めに避難するなど安全を確保するよう対応してほしい」と話している。
2016年の台風10号では同市で48時間雨量280ミリを記録し、市内が水に浸かるなどの被害が出た。