県文化財2件指定へ 猪川観音長谷寺絵馬群(大船渡) 子安信仰資料と助産用具(二戸)
県文化財保護審議会は、県有形文化財に猪川観音長谷寺絵馬群(大船渡市)、県有形民俗文化財に二戸金田一・浄法寺の子安信仰資料と助産用具(二戸市)を指定するよう県教委に答申した。指定されれば、県指定文化財は計409件となる。
猪川観音長谷寺絵馬群は、大船渡市猪川町の長谷寺に伝わる全16面の絵馬。主題は和漢故事などで、10面には1770(明和7)年から1873(明治6)年の奉納年が記され、残る6面は近世後半から近代にかけて制作されたとみられる。
顔料の彩度の高さや金砂子の使用、表面が整えられた板材などから描画技法を持つ人物によって入念に制作されたことが分かる。同時期に制作された現在の県域の他の絵画資料と比較しても優れた出来栄えで、板絵としては代表的な存在とされる。
二戸金田一・浄法寺の子安信仰資料と助産用具は、二戸市の金田一・浄法寺地域に伝わる子育てや安産を祈願する子安信仰の資料20点と、助産用具98点の計118点。同地域では「コナサセバサマ」と呼ばれる産婆が「子安さま」を信仰し、助産の仕事を担った。
子安さまは子どもを抱いた地蔵菩薩像や女神像などで、近世末以前から信仰されていたと考えられる。へその緒を切る刀「スゴロ」など昭和30年代まで使用されていた道具類は、同地域の女性と出産を取り巻く信仰の在り方や習俗を考察する上で重要な資料とされる。
2件は10月の県教育委員会議を経て、12月に指定される見通し。