一関・平泉

大船渡線と私 開業100周年プレ企画

 「大船渡線」懐かしい響きである。東日本大震災の発生で鉄道交通網が半ば崩壊、バス(BRT)に代わった感があり、寂しくも何か過去の思い出になりつつあった。

 大船渡は父方の叔父が第二の故郷とした地である。縁あって大船渡の酒屋の娘さんと結婚、婿入りし、精いっぱい働き、気仙地区有数の酒屋といわれた。私が小中学生の頃は、父そして祖父母に数え切れないほど連れて行ってもらった。

 近くの駅から東北本線で一関へ。そこから大船渡線に乗り換え、曲がりくねった線路、トンネルを車窓から眺めるのが好きだった。真滝、陸中門崎、陸中松川など駅名を覚えるのも楽しかった。岩手県だと思っていた気仙沼は「宮城県だよ」と祖父に教えられた。

 時は流れ平成に入って数年後、叔父は酒の配達中の事故で亡くなり、さらに数年後、その家族は時代の波に流されるように店を閉じ、大船渡の地を離れた。

 叔父の優しい笑顔とともに、大船渡線を思い出す。

(金ケ崎町西根・及川正吾さん)


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企画/一関市観光協会、岩手日日新聞社

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