大船渡線と私 開業100周年プレ企画
図書館の蒸気機関車に出合い昔を思い出した。折壁の古い停車場から、多くの友達が山汽車で新しい人生に向かって出発した。当時の高校進学率は50%。中学卒業生の半数は、夢や大志を抱き集団列車に揺られ、上野駅など全国各地に向けて古里を後にした。
自分も神奈川に転職する時、お世話になった多くの人から見送りを受け、思わず目頭が熱くなった。車窓から見えた霊峰室根山が頑張れと励ましてくれた。都会の生活に疲れると無性に山登りがしたくなり、長野などの雄大な風景に癒やされたものだ。2度目の転職先である大船渡に行くのにも、折壁停車場から山汽車に数え切れないほど乗車し、お世話になった。新婚旅行の憧れのハワイ航路行きでも利用した。
折壁停車場は自分の人生の交差点である。これからも1日置きの病院通いでお世話になる。
(一関市室根町・藤代勝信さん)