すぐ逃げよ父の言葉に鳥帰る 祈りのうた いわての震災詠 東日本大震災から14年
北上市 小笠原志保子さん 80歳
【句意】海辺で育った父は、5人の子どもたちに「地震が起きたら津波が来る。それぞれ高い所にある社に逃げるんだぞ」と繰り返し教えた。白鳥の北帰行の時期にその言葉を思い出している。
釜石の鵜住居で育ちました。製鉄所で働く父は、昭和三陸津波で逃げ遅れ、怖い思いをしたそうです。津波に備え、頑丈な家を建てました。高校生の時、就寝中にチリ地震津波があり、枕元のかばんを持って避難しました。集落の家が流される光景は忘れられません。東日本大震災では、あの実家も流されました。先日、両親の三十三回忌の法要できょうだいが集まりました。穏やかな海を眺め、感謝の思いで手を合わせました。