三月の記憶掬えば砂零れ 祈りのうた いわての震災詠 東日本大震災から14年
奥州市 鎌倉道彦さん 77歳
【句意】三月の記憶とは震災のこと。海辺には親しい友人や教え子たちがいる。無事を願いながら、自宅に身を寄せた孫のミルクやオムツを求めて店を回った。月日が流れ、大変だった日々の記憶も次第に薄れている。
教師として最初に赴任したのが宮城の石巻市立女子商業高校でした。校舎から海が見え、砂浜で貝を拾った思い出があります。震災の前年、教え子が私の還暦祝いを開いてくれました。彼女たちが無事でいるか心配でしたが、こちらから尋ねることははばかられました。被災した石巻女子商業の校舎は再建されず、松原があった所に防潮堤が造られました。震災当時の記憶は薄れていますが、昨年の能登半島地震で揺り戻された感があります。