炉端語り 衣川の方言から

日記

【アキ】あ、じいちゃんも日記書いてんの?日記書くのって大変なんだよ。

【祖父】んだ(そうだ)、こどすもつけんの。何なやアキのどつがって、かんぎゃっこどねぇもや。たーだ出来事を並べるだげで、ぞさねぇの。例えば雪、気温5度、来客○○どがだお。

【ヨシ】何で書くようになったの?いつから?

【祖父】そだナ、えーと、あんどぎ(あの時)がらだったべがなー。そーするづど、えまから40年ぐりゃめぇに(ぐらい前に)なっぺが。書ぐのはわりゃ(自分)の生活記録のためさ。

【祖母】よぐもまぁ三日坊主になんねぇでス、えまでハくしぇ(癖)になってんだべも。寝るめぇに、ちょこちょこっときゃで(書いて)んだっけ。

【祖父】でもな、えまはボゲでっから頭の活性化さしぇんべって(させようと)、やぐど(わざと)次の日の朝に、きのなの(昨日の)ごど思い出す出すきゃでんだ。こんで思い出すのうざねだ(容易でない)どや。

【アキ】書くの面倒くさくない?

【祖母】きゃでぐど(書いておくと)後で何あったったべ、何すたったべどがわがっから、えんだど(役に立つんだと)。日記ってもな、じいちゃんなは覚え書ぎ帳どが農事暦みでぇなもんなんだべ。ヨシ、アキなは成長の記録になんだべどもな。

【ヨシ】40年も書いてると、日記帳が40冊だよ。ウワーッ!

【祖父】そなんだ。んで(それで)こねぇだ、ふれぇのがら30冊処分すたもや。残すてだって誰見るでねぇ、ごみになるばりだっかんな。でもな、こんな日記帳でも投げんの勇気と涙だったど。

構成・小野寺精一(奥州市)