食の歳時記

地場産野菜を漬物に

きらず漬けの材料を混ぜ合わせる小野寺さん

 地場産の食材で漬物作りに腕を振るう平泉町の小野寺郁子さん(65)。「漬もの処きら里」の名称で、町内の産直施設に出荷している。お薦めの一品と、漬物を使ったアレンジ料理について聞いた。

 初心者でも手軽に作れるのがきらず漬け。毛越寺門前直売あやめ内の加工施設で漬物製造を始める際、コンサルタントに教わり、町内産大豆の活用にもつながるとして取り入れた。

 きらずは豆腐を作る工程で出るおからのこと。漬物には季節の野菜を組み合わせる。手順は野菜を適当な大きさに切り、塩を振って一晩置く。きらずと砂糖、塩、酢、焼酎を合わせる。これに水気を切った野菜を加え、よく混ぜたら出来上がり。

 きらずと調味料をしっかり合わせるのがこつ。今回は紅芯大根、青大根、ニンジン、黄金かぶを使い、見た目にも食欲をそそる一品に仕上がった。味がなじむ3日目ごろがおいしく、発酵が進んだものは酒のさかなに向く。

 ひと手間加えた料理では、大豆の五目漬けを刻んで入れたいなりずし、ゴボウのしょうゆ漬けの天ぷらなどを提案する。古代米にすし酢を加えてピンク色を出したいなりずしは、「長寿いなり」のネーミングとともに来店者に好評だったという。和がらしを使った大根のしょうゆ漬け、キュウリの酢漬けは、刻んだものをマヨネーズとあえ、タルタルソースに。レタスと一緒に挟めばサラダパンになる。

 独自のアイデアで漬物作りに精を出す小野寺さんだが、本格的に取り組んだのはこの10年だという。「地元産のおいしい野菜で作れるのが幸せ」と、長ネギのピクルスなどこれまで約10種類の商品を開発した。

 4月からは製造拠点を同町長島に移し、調理と並行して地域のお年寄りの交流の場づくりを進める。「漬物用に野菜を栽培したり、がんづきを作ったりしながら、皆さんと楽しく茶飲み話ができたらいいですね」とほほ笑む。