花巻

収穫作業が本格化 花巻・春まきタマネギ 生産現場を関係者視察

乗用の大型機械を用いて行われた春まきタマネギの収穫作業。収益の高い園芸品目として県は栽培拡大、機械化促進を目指す

 県農林水産部や指導機関の関係者は2日、春まきタマネギの大規模生産に取り組む花巻市太田の農事組合法人リアル(新渕伸彦代表理事)の圃場(ほじょう)で本格的に始まった収穫作業を視察した。端境期に出荷でき高収益が見込めるタマネギを生産している同法人は2年目の2017年度、国の補助事業を活用して機械化の一貫体系も整えて生産規模を拡大。効率的な収穫作業に、関係者は収益力を高める取り組みとの認識を強め、他地区への栽培、機械化の普及拡大に期待を寄せた。

 農家の所得向上を狙い、県は主産地の北海道、佐賀県の出荷時期に挟まれた夏場に出荷でき作業も機械化されている「春まきタマネギ」に着目。水田を利用した新たな園芸品目として導入促進に力を入れている。

 同法人は、県農業研究センターと協力し16年度に栽培実証圃4ヘクタールで生産を開始。今年度は昨年度の国の産地パワーアップ事業を活用して播種(はしゅ)から収穫、調整まで一貫した機械化を図り、生産面積も県内で最も広い7ヘクタールに拡大。苗の自家生産も始め、4月に定植、7月28日に収穫作業を開始した。

 視察には県農林水産部の紺野由夫部長、県中央農業改良普及センターや県農業研究センター、県南広域振興局花巻農林振興センターなど関係機関の担当者らが参加。圃場で自走式収穫機による収穫作業、同法人の作業場では選別機で葉を切り落としサイズ別に仕分ける様子を視察した。

 大豆に代わる作物として春まきタマネギを導入したという新渕代表理事(41)。「収益はコメと比較にならない」と導入メリットを挙げながら、「昨年はほとんどが手作業で、8月いっぱいかけても4ヘクタールのうち1ヘクタールしか収穫できなかった」と人力だけでは効率が悪い点も明らかにした。

 機械化が整った今年度は既に60アールで収穫終了。「7人の作業で1トン収穫するのに30分ほどで済む」と作業効率の大幅アップを強調し、「今年は今月末までで全7ヘクタールの収穫を終えられそう。来年は10ヘクタールに面積を増やしたい」と意気込みを示した。同法人は構成員67戸だが、将来は30ヘクタールまで拡大し雇用も増やす考えだ。

 紺野部長は「作業効率がいい。負担が大きく軽減されていると感じた。みんな楽しそうに作業しており、これなら農業をやりたいという若者も出てくるだろう」と期待。「来年にはコメの生産調整が廃止されコメ生産だけでは所得確保も難しくなる。どうすべきかをそれぞれが考えなければいけない時代。これを先進的事例のモデルとし、意欲ある取り組みを積極的に支援していきたい」と話した。

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