記者わーぷろ

扉を開けて<10839>

 「いない いない ばあ」か「あかいふうせん」か、最初に触れたのが何だったかは覚えていないけれど、おもちゃより絵本に囲まれて育った。「ながぐつをはいたねこ」の仕掛け絵本を筆頭に、「スーホの白い馬」「太陽へとぶ矢」「ちいさいおうち」…好きだった絵本を挙げたらきりがない。偉大な絵本作家がまた一人星になった。安野光雅さん。持っていた一冊が「ふしぎなえ」。文字はなく、細密な描写で導かれるのは小人たちのいる不思議な世界。目の錯覚を利用したエッシャー風のだまし絵に、好奇心を大いにくすぐられた。絵、活字、想像力、好奇心―。今の仕事や趣味に通じる最初の扉を開いてくれたのは間違いなく絵本だ。安野さんは亡くなったけど、作品はこれからも多くの人に影響を与え続けることだろう。合掌。(真)