日日草

2021年3月9日

 ニュージーランドで先日マグニチュード(M)7を超す地震があり、日本でも一時津波が心配された。幸い被害はなかったが、ふと思い出したのがチリで大地震が発生し本県初の大津波警報が発令された2010年2月28日のこと。担当地域の取材を切り上げ、内陸から沿岸へ車を走らせた

▼陸前高田市に到着後、高田松原の防潮堤の水門を消防署員が閉める様子を撮影し、道の駅やスーパー、コンビニなどを回った。避難指示が出て市民は公共施設などに避難しており、日曜の昼というのに全く人通りがなくなった市街地の光景が異空間のように思えた

▼それから1年余り後、東日本大震災の津波で市街地が壊滅するほどの被害を受けるとは想像すらできなかった。10年の取材時は迅速な避難に市民の防災意識の高さを感じたが、巨大津波は当時の避難所を含め全てをのみ込んだ

▼「こんなに大勢が避難することは最近なかった。何も被害がなく済めばいい」と不安げに語った避難所の女性の姿が脳裏にある。10年の津波で大きな被害はなかったが、話を聞いた女性が震災の津波でも無事だったのかどうかは分からない

▼未曽有の災害から10年。巨大津波を想定するのは難しいことだったのかもしれないが、重い教訓は後世へ生かさなければならない。