日日草

2020年1月25日

 「はたらけど はたらけど猶(なお) わが生活(くらし) 楽にならざり ぢつと手を見る」。言うまでもなく岩手が生んだ歌人石川啄木の一首で、いつの時代になっても普遍性の高い内容と言えよう

▼この春に就職する学生の多くは売り手市場を背景に早い段階で企業から内定をもらい、新社会人として大きく羽ばたこうと張り切っていることだろう。その一方、転職にはこだわらないという学生も4割余りに上る

▼日本の終身雇用制度が時代の流れに合わないといわれて久しい。入社した当初、「記者は休みがないと思え。24時間働くつもりで日々過ごせ」と先輩記者に言われたが、今の世に通用するはずはない

▼今月公表された民間調査でも学生の意識は明確だ。終身雇用制度はいずれなくなる、一つの企業にしがみつきたくない、最初の職場はキャリア形成の一つ―などと水が合わなければ早々に職場を去る意向がうかがえる

▼働き方改革の推進で残業や休日出勤が減っている。新入社員は当然の流れと受け止めて仕事に励むだろうが、良いことばかりとは限らない。啄木のように困窮する場合もある。意に沿わないからと早計に退職を選択する前に踏みとどまることも重要だ。転職を繰り返しているうちに、一生の仕事となる天職まで見失わないようにしたい。