景観継承活動が結実 本寺地区地域づくり推進協 手づくり郷土賞に輝く【一関】
国土交通省の2017年度「手づくり郷土(ふるさと)賞」に、一関市の本寺地区地域づくり推進協議会(佐藤勲会長)が主体となって進めている「『骨寺村荘園遺跡』等の保全と地域の活性化を目指す活動」が選定された。選定団体は県内では唯一。中世の荘園絵図に描かれ、国史跡「骨寺村荘園遺跡」など地域の豊かな景観を後世に伝えようと、ブランド化や都市農村交流などの地域一体となった取り組みが認められた。10年余り活動を続けている関係者の喜びもひとしおだ。
同省は社会資本とかかわりを持つ地域づくりの優れた取り組みについて公募し、1986年から大臣表彰している。今回の選定は19件(一般部門16件、大賞部門3件)で、東北地方整備局管内では本寺地区のほか、石巻南浜津波復興祈念公園における市民の伝承活動(宮城県)が選ばれている。
同市からは、これまでに磐井川(ふれあいの水辺)、大東町営大明神団地(テーマ設定なし)、吸川・自然豊かなせせらぎを再び(地域活動部門)が選定されており、16年ぶりの受賞となった。
今回受賞したのは、2004年に発足した同推進協が国史跡と国の重要文化的景観、国道342号、一級河川本寺川といった社会資本を対象として行っている活動。
同地区の社会資本は、堂社や祠(ほこら)などのほか、山並みや曲がりくねった小区画水田、イグネに守られている家々など、中世の古絵図のまま保存された地形や環境、景観。温泉や栗駒山などの観光ルートとして市民に親しまれる国道342号は、岩手・宮城内陸地震の震災遺構として整備。また、本寺川は1975年に河川復旧関連工事として整備され、治水上安全な河川となっている。
同推進協は、農村景観を保ちながら不整形な小区画水田を活用した稲作体験イベント、オーナー制度による田植えや収穫祭での都市農村交流が図られている。また、小区画水田の保全と活用のため、市と地権者、同推進協が「小区画水田保全管理運営に係る協定」を結んでいる。
さらなる発展を期すため、「骨寺村荘園」をブランド化するための活動も展開。遺跡内で減農薬と自然乾燥による「骨寺村荘園米」を生産するほか、糖度の高い南部一郎かぼちゃを特産品と位置付けて生産販売、さらに加工品の製品化も進めている。
同推進協の佐藤会長は「後世に残したいと協議会をつくり、土水路の整備や田植え、稲刈り、米納めを行っている。連綿と先人が残してきた遺産を後世にとの一心で活動してきたことが認められ、感激している。これからも骨寺村荘園と本寺地区が続くように活動を続けたい」と話している。
2018年1月28日には、東京都港区の発明会館で同賞グランプリ2017が開かれ、同推進協など受賞団体が活動プレゼンテーションを行う。
電子新聞momottoで紙面未掲載写真を公開中