豊かな自然次世代へ 奥州で環境フォーラム 被災地の復興考える
環境交流フォーラム(県南広域振興局保健福祉環境部主催)は14日、奥州市江刺区の市役所江刺総合支所多目的ホールで開かれた。特別鼎談(ていだん)やパネルディスカッションなどで東日本大震災津波からの自然環境の復興を考えた。
被災地の自然や環境の復興に関わる情報を共有し、豊かな自然を次世代に引き継ぐ意識を高めるのが目的で約150人が参加。細川倫史同振興局長が「環境活動への関心が一層高まり、取り組みが盛り上がってほしい」と期待した。
鼎談は、被災地のまちづくりに目が向く中で自然や環境の復興にも関心を持ってもらう狙い。NPO法人環境パートナーシップいわて代表理事の野澤日出夫氏、IBC岩手放送アナウンサーの川島有貴氏、同振興局保健福祉環境部長の藤尾修氏が登壇した。
野澤氏は、大槌町の湿原地帯だった場所に津波で昔の湿原植物の種子が芽を出して再生されていることに触れ「農薬使用以前のもので、湧水もあり貴重。震災の記憶とともに何とか後世に残したいと地元住民と取り組みを進めている」と事例を紹介した。
川島氏は「自然が戻ることで今まで一緒に暮らし、遊んでいたものが戻ってくる。それが暮らしの復興につながるのではないか」と述べた。
藤尾氏は、自然と教育を合わせた独自の造語「ネーチャーケーション(自然育)」の意義を説きながら「行政や団体、事業所、学校、地域が連携して子供たちの成長のための視点で取り組むことが重要だ」と訴えた。
パネルディスカッションでは「多様な主体が連携した自然保護活動の推進」をテーマに実践団体やNPO法人、企業、行政などの5人が主にマツムシソウの保護活動支援などを話し合った。